隔月発行の絵本情報紙「絵本フォーラム」に掲載された飫肥 糺(おび ただす)さんのコラム「”たましい”をゆさぶる子どもの本の世界」の一覧です。
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NOW 飫肥糺 連載140
連載140 のびのび・せつなく・たくましい。 豊かな純粋表現がうったえる学童詩54篇(『一年一組 せんせい あのね』 鹿島和夫/選 ヨシタケシンスケ/絵 理論社)
せんせい
にんげんは なんのためにいきているんですか
ぼくは
たっぷりあそんで たのしむためだと おもいます
せんせいはどうおもいますか (「にんげん」:えぐさたくや)
発話の主は小学一年生の少年。いいなあ。この、自由でのび゛びした言葉のつらなり。そうだよな。子どもの学びは遊ぶことからはじまるのだ。老年となって子ども時代をときおり回想するぼくは、しみじみとそう思う。
こんなふうに語りかけられた現在の先生は、どう応えるのだろう。活き活きした言葉に押されて、「そうだよねえ」とでも応えるのだろうか。それとも、「遊んでばかりじゃだめだ……」とか、子らの自由を制限するような言葉を放つのだろうか。幼児や学童の吐くひとことやつぶやきは、虚飾のまったくない純粋表現である。定型をもたない珠玉の詩ではないかと、ぼくは思う。
・・・
(つづく)
”たましい”をゆさぶる子どもの本の世界 アーカイブス
- 01.透きとおった子どもの目
- 02.ぼく にげちゃうよ
- 03.いない いない ばあ
- 04.ちびゴリラのちびちび
- 05.いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう
- ・・・・・・・・・・ < <中略> >・・・・・・・・・・
- 79.おにいちゃんになるひ
- 80.ともだち
- 81.だるまさんが
- 82.ほげちゃん
- 83.ぼくは海になった
- 84.ぐるんぐるん つむじかぜ
- 85.へいわって すてきだね
- 86.おばけなんてないさ
- 87.おじいちゃんとのやくそく
- 88.ピカソはぼくの親友なんだく
- 89.世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
- 90.貧困地域に生きる人々の明るさとあふれる善意
- 91.すなおに強く、語ろう。「せんそう しない」と…、
- 92.因果応報か。無常か。人間社会の混沌や不条理を揶揄する不思議な笑劇
- 93.人道的正しさを自覚した外交官、ビザを発給へ
- 94.本当の「こわさ」を教えてくれる「こわくない」という絵本
- 95.素朴さってなんだろう。ルソーの絵が語るもの
- 96. 良質な旅の物語ガイドを絵本作家の実直な目と知識が生んだ『出発進行! 里山トロッコ列車』小湊鉄道沿線の旅
- 97. 言葉では表現できない「ぼく」と「にいちゃん」の関わり『ぼくのにいちゃん すごいやろ!』
- 98. ゴッホのアルル時代と子どもたち、名作誕生のある裏面を描く『あるアーティストと悪がきだったぼくのこと』
- 99. ナンセンスなひびきに惹きこまれ、かぎりなく空想がひろがる『りんごかもしれない』
- 100. ヒト ハ ワスレル ヒト ハ クリカエス ヒトの属性を問う『ヒト ニ ツイテ』
- 101. こんな宿題、あったらいいな。『しゅくだい』
- 102. いそがしいママの気持ちをおしはかる小さなおねえちゃん『ちょっとだけ』
- 103. 応えられそうで、答えられない…、平和って、どんなこと?『平和って、どんなこと?』
- 104. 平明なおはなしで解き明かす井上ひさしの日本国憲法入門『「けんぽう」のはなし』
- 105. 色・形・数…、モノ・コトの概念を目と耳の感覚受容で楽しく描く『とりがいるよ』
- 106. ふざけているが、面白い。こんな本もときには読んでみる『えがないえほん』
- 107. 「カナシミ」をいっぱいかかえて生きる。『でんでんむしのかなしみ』
- 108. 文は人なり 読み続けられる作品の文章表現が表出する『ふしぎなたいこ』
- 109. からすは嫌われ者ではない『からすのパンやさん』
- 110. 豊かな心の動きがゆきかう地域に生きる子どもの戸外遊び『かんけり』
- 111. 面白い。ふんわりと心を包むシンプル・ストーリー。『ぞうくんのさんぽ』
- 112.普遍性のあるたいせつなことをやさしく語りかける。 読みつがれる70年の年月『たいせつなこと』
- 113.隣の芝生は青くない