子ども歳時記127『自分のための絵本』北 素子

松本 直美
北 素子

 金融庁が発表した 「95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の蓄えが必要である」とする老後資金報告書に批判が相次ぎ、公的年金制度に対する不満や、先行きへの不安が国民の問に広がりました。 この数字についてはともかく、我が国は人生100年時代に向けてすでに動き出しています。

 学校教育を終え、就職し、家庭を持ち、定年まで勤めあげ、年金を頼りに暮らしていく人生を考える時代ではなくなりました。 進学、就職、結婚、子どもをもっかどうかも最終的には個人が選択できる時代へ。”正解”も”ゴール”もないのですから。わたしたちは100歳という数字を前に、どのように生きていけぱいいのでしよう。

 「人生とは」 「幸せとは」 「生きることの意味とは」…。書店には、人生論、哲学、倫理学についての書籍がたくさん並んでいます。 しかし、絵本や児童文学作品を存分に味わったことのある人なら、絵本や児童書にこそ、人生の大切なことが描かれていることをご存じでしょう。

 そして、持っていた袋から衣装や小物を出して芸をしました。 それはこれまでにないほど見事な芸でした。 そして彼は …… 。 そこで起こつた奇跡は …… 。

神の道化師
『神の道化師』
(トミー・デ・パオラ /さく・え、
ゆあさ ふみえ /やく、ほるぷ出版)

 フランスに伝わる古い民話をもとにしたこのお話。人生を考えることは、悠久の歴史課題なのでしょう。

 人は様々な体験を通して、日々変化していきます。 一生で直接体験できることは限られているからこそ、問接体験でイメージする力をもっことが『 人生の豊かさにつながるはず。
人生100年時代を生きていく楽しみとして、自分のために絵本を読むのも、いいですよね。
(きた・もとこ)