2021年度第18期絵本講師養成講座のカリキュラム

第18期「絵本講師・養成講座」東京会場 第5編
2022年01月29日(土)

第18期「絵本講師・養成講座」東京会場 第5編 2022年1月29日(土)

報告  岡 美佐緒 

 

 第18期「絵本講師・養成講座」東京会場 第5編が2022年1月29日(土)、飯田橋レインボービルにおいて開催されました。会場では、感染予防対策をしっかりと行い受講生の皆さんをお迎えしました。

①司会 大長咲子副理事長
①司会 大長咲子副理事長

 大長咲子副理事長(芦屋1期)の司会で午前の部が始まりました。

②講演 森ゆり子
②講演 森ゆり子

 「絵本で子育て」と題した森ゆり子理事長による講演は、受講生の皆さんを保育所の保護者に見立てた絵本講座です。まず『ちびゴリラのちびちび』(ほるぷ出版)の読み聞かせで「絵本を読んでもらう経験」を受講生の皆さんに体験してもらいました。その中で、子どもはいつも質問されていると「また質問される」と身構えてしまい心から絵本を楽しむことができない、質問することで読んだ効果を台無しにしてしまう、と話されました。また、絵本の文には書かれていない‟絵が表わす言葉“を子どもは読み取っているということ。絵本の中で何度もくり返される温かな言葉の体験が愛された記憶へつながる。絵本の中で別離と再会、不安と安心をくり返すことにより「自分はずっと見守ってもらえる存在である」という安心感につながり、自尊感情や自己肯定感が育っていくのだと話されました。

 『子どもに愛を伝える方法』(田上時子+エリザベス・クレアリー/著、築地書館)をご紹介くださり、愛を伝える方法には①言葉で伝える②スキンシップ③時間の共有④ささやかなプレゼント⑤願いを叶える、の5つがあり「絵本を読む」行為には全てが含まれている。絵本を読むことは愛を伝えることに他ならない。親は皆、子どものことを思っているが、それが子どもに伝わっていない。絵本を読みながら愛を伝えてほしい。そして愛を伝える絵本は大人の目でしっかり吟味して欲しいと語られました。

 読み聞かせや紹介を交えてのお話が続く中で森理事長は言葉の獲得について触れられ、試験のために覚えた言葉と絵本や物語の中で心を揺さぶられて獲得した言葉は全く違うもの。絵本や物語の中で、ワクワク・ドキドキ・ハラハラといういろいろな感情体験をすることで、心の基礎体力が育っていくのだと話されました。『わたしのいもうと』(偕成社)『さっちゃんのまほうのて』(偕成社)の紹介では、静寂の中で皆さん理事長の声にじっと聞き入っていました。お一人おひとりの心が揺さぶられているのが伝わり、会場が温かな空気で満たされるのを感じました。

③講演 片岡直樹氏
③講演 片岡直樹氏

 午後の部は、川崎医科大学名誉教授の片岡直樹先生の「テレビ・ビデオ・スマホが子どもの心を破壊している」と題したご講演です。

 片岡先生は、ご自身が言葉遅れのお子さんと関わってこられた症例を紹介してくださりながら、子どもの育ちに大切なことをお話してくださいました。赤ちゃんはみな生れた時は白紙であり、模倣とスキンシップによって育つ。乳幼児期(特に生後1~2ヶ月)で大事なのは「応答環境」であり、「泣いたら応えてもらえる」というお母さんとの関係において心身が安定し、コミュニケーション能力もそこから育っていく。言葉には、話し言葉と読み書き言葉があり、大事なのは話し言葉であり「応答環境」によって身につく。早くから電子メディアに触れることは、脳の理論を司る前頭前野の働きを阻害してしまう。1歳前後にスマホを与えてしまうと五感が育たなくなってしまう。何よりも身体を動かし五感を育てることが大切であると力説されました。絵本講座の中で、電子メディアとの上手な付き合い方を伝えていく必要性を再認識した片岡先生のご講演でした。

 池田加津子理事(芦屋2期)から最終課題リポートについての説明があり、グループワークへと移りました。今日の講演の感想を中心に和やかな雰囲気の中でグループワークが行われました。

 次回はいよいよ閉講式です。受講生の皆さんの晴れやかな笑顔とお会いできるのを楽しみにしています。

(おか・みさお)

全体風景
全体風景