2021年度第18期絵本講師養成講座のカリキュラム

第18期「絵本講師・養成講座」東京会場 第4編
2021年11月27日(土)

 第18期「絵本講師・養成講座」東京第4編が2021年11月27日(土)飯田橋レインボービルにて開催されました。

報告 岡部 雅子
報告 岡部 雅子

 春から続いていた緊急事態宣言が明け、初めて出席された方もいらっしゃいました。受講生の皆さんには、前回同様に感染症対策にご協力をいただきながらの開催となりました。

司会①中村利奈
司会 中村利奈

 中村利奈さんの司会で始まった午前の部では、故中川正文先生の「絵本・わたしの旅立ち」と題した講演DVDを視聴しました。大阪児童文学館の館長時代のエピソードや、大人が子どもに本を届ける行為の本質についてユーモアたっぷりにお話しされました。一緒に絵本を読むことで、親と子が、あるいは先生と子が、絵本を仲立ちに経験を分かち合い、それぞれに感動することができる。読み聞かせは共に成長するチャンスであって、その本が子どもの役に立つかどうかは大人にはわからないという謙虚さを持ちましょう、などの考え方を示されました。そして、本との付き合いは人との付き合いに似て長い付き合いができること、読むたびに発見があることなど、本がもたらしてくれる豊かさを、お気に入りの豆本を愛おしそうに手に取りながら茶目っ気たっぷりに話してくださいました。

②故 中川正文
故 中川正文

最後に、命を大切にするとはどういうことかを伝えたいと、『すみれ島』を朗読してくださいました。若くして死ななければならなかった時代があったこと、出撃号令がないということの有難さについて考えさせられました。生きるということの喜びと悲しみを知る、在りし日の先生が偲ばれるご講演でした。   

③藤井勇市
藤井勇市

 午後の部は、「子どもに絵本を届ける大人の心構え」と題した藤井勇市・当センター顧問の講演です。まず始めに、言論の自由について確認がありました。論者には自分の考えを語る自由があるが、それをどう受け止めるかは聴く側の自由であって、両者の間に畏怖と敬意があって言論の自由が成り立つとの認識を示されました。それから、①中川先生との出会いや『きつねやぶのまんけはん』創作秘話について②政治に無関心であっても、政治と無関係ではいられない~世の中で起きていることについてメディアを鵜呑みにしていないか③絵本講師の心構え~絵本講師は何でも知っている人ではなく一緒に考えられる人、について3部構成でお話がありました。どの項目にも問題提起がありました。

④池田加津子
池田加津子

 グループワークでは、初参加の方を交え自己紹介から始めるグループもあり、課題リポートへの取り組み方や、子どもを取り巻く環境について講座でどのように伝えるかなど、活発な話し合いが行われました。初参加者からは、自宅で視聴するのとはまったく違う熱気が会場にはあり、リアルの大切さを改めて実感したという声をいただきました。

④池田加津子
池田加津子

 第4編を通じ、中川先生が『すみれ島』を通して私たちに伝えたかったこと、私たちがそれを実行するには、藤井顧問がおっしゃるように社会の出来事に無関心ではいられない。私の中でそう繋がりました。

(おかべ・まさこ)