第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場 第3編 2020年8月22日(土)

報告者 多本 ゆき枝

報告者 多本 ゆき枝

仲間とともに「絵本とは何か」を学び考えた日

スタッフ
スタッフ

 第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2020年8月22日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。新型コロナウイルス感染予防対策をした会場に受講生13名の出席があり、熊懐賀代さん(芦屋4期)の司会で講座が始まりました。

受付
受付
熊懐 賀代
熊懐 賀代

 午前の部は、飫肥糺先生の講演「子どもたちの現在と絵本」です。コロナ禍で家に閉じ込められ落ち着かない毎日だったが、普段あまり持てない自由な時間に友だちと遊ぶ子どもたちの姿が見られて良かった。この国の社会体制の遅れや人品の卑しさが多方面で露呈されたものの、見えてきた問題を共有できれば悪くないのかもしれない、と話されました。

飫肥 糺 氏
飫肥 糺 氏

 そして、『平和ってどんなこと?』(ウォ―レス・エドワード/さく、おびただす/やく、六耀社)を読みながら、平和ってどんなことかの答えは一つではない、同じ現実を前にして心が平和かどうかは人それぞれ。他の人に思いを寄せて、自分も他人も大事にすれば、少しずつ世の中がやさしくなるだろう、と語られました。

 子どもの本とは、子ども時代に子どもが見る本であるとともに、大人にとって子ども時代には考えていたのに見失ってしまったものを改めて見出す入口をもっているもの、大人になって何度でも読めるものである。心の狭い考えが世界に蔓延する中、将来に向かって生きる子どもたちと絵本を読み、一緒に考え、前進する力をつけよう、と締めくくられました。

 生きた言葉を日常生活で使い、家庭の中にどれほど言葉があるかが問われています。子どもに語ることを大切にしてほしい。子どもは絵本の絵を眼で読みます。絵が言葉だからです。ですから絵が物語を語っているかどうか?  子どもが眼に見えるような世界を作れるように、読み手は、物語を自分の中に思い描いて読んで、子どもに教えないで心で気づくように語りかけて伝えてほしいと話されました。

 

 午後の部は、吉井康文先生の講演「絵本の絵を読む魅力、大切さ」です。絵本とは、文字が読めない子どものために、絵という文字の助けをかりてお話を届けるものだ、と言われ、たくさんの絵本をご紹介くださいました。子どもは絵を読み、絵本作家は子どもに絵を読まそうとする。文字で書いていないことを絵に描き、絵で時間経過を表し、接続詞を上手く用いてページをめくらせる。

吉井康文氏
吉井康文氏

 いま大人は刺激の多いものを子どもに与えがちだが、子どもが好きなのは日常を淡々と描く絵本であり、自分が自分であることを肯定する物語である。子どもは日常と非日常を自由に行ったり来たりしている。絵本の中で、瀬田貞二氏の言う「行きて帰りし物語」を聞いて安心して行って帰ってくるためには、安心できる場所で、安心できる声で、1対1で読み聞かせすることが大切である、と話されました。

 池田加津子理事(芦屋2期)から、絵本講師とボランティアとの違い、サプリメントのデータについて、著作権についての説明があった後、グループワークとなりました。今回は出席者が少ないことから2グループ合同です。自己紹介から始まり、講演を聞いての感想、著作権についての確認、リポートの課題についての話し合いがされました。会場で生の声の講演を聴くのはメモを急いで取らなければならず、DVD受講とは違う充実感があった、との声もありました。

池田 加津子
池田 加津子

人と人が同じ空間に集い、共に学ぶ喜びを感じた一日でした。
(たもと・ゆきえ)

 過去の「絵本講師・養成講座」の各編はここからご覧いただけます。

今回 大阪会場第3編の風景

会場
会場