スタッフ
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大阪会場第2編  「紙の媒体はごまかせない」を学ぶ   2020年06月27日(土)

報告者 大西 徳子

報告者 大西 徳子

「紙の媒体はごまかせない」

 第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場第2編が2020年6月27日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。第1編は、残念ながら新型コロナウィルス緊急事態の自粛のため会場に足を運んでいただけなくなりましたが解除により、第2編は、三密を考慮し、ソーシャルディスタンスを取りながらスタート致しました。

 

スタッフ
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 午前の部は、松居直先生(児童文学家)の「絵本のよろこび」(DⅤD講義)です。教育を受ける前の子どもの暮らしがとても大切だと話されました。子どもたちが大きくなったとき、日本の社会がどうなっていくか、これからどういう風に生きていったらいいか、大人が深く、考えなければいけない時代が来ています。

 

 生きた言葉を日常生活で使い、家庭の中にどれほど言葉があるかが問われています。子どもに語ることを大切にしてほしい。子どもは絵本の絵を眼で読みます。絵が言葉だからです。ですから絵が物語を語っているかどうか?  子どもが眼に見えるような世界を作れるように、読み手は、物語を自分の中に思い描いて読んで、子どもに教えないで心で気づくように語りかけて伝えてほしいと話されました。

アーサー・ビナード氏 
アーサー・ビナード氏

 午後の部は、アーサー・ビナード氏(詩人)の講演です。全米図書賞『父さんがかえる日まで』(モーリス・センダック/さく、アーサー・ビナードやく、偕成社)1981年初版のお話です。『かいじゅうたちのいるところ』(1963年)と『まよなかのだいどころ』(1970年)でモーリス・センダックの三部作が日本語で完成しました。時代を超えないものは、絵本や、文学や、詩とはいえない。ウィキペディアは、常に動かしていじられて、細部を作り変えているが、紙の媒体はごまかせない、証拠になり学べると話されました。
 次に最新作『そもそもオリンピック』(アーサー・ビナード/作、スズキコージ/画、玉川大学出版部)のお話です。1928年のオリンピックでアジア人として初めて金メダルを獲得した、広島県海田町の織田幹雄選手のお話です。織田幹雄選手は日本語の「三段跳び」の呼び名を考え出し、「スポーツにはスポーツの論理がある。オリンピックにはオリンピックの考え方がある。オリンピックが平和運動なら平和運動らしくするようIOCは努力すべきです。国威高揚だ、メダルをとった、と大騒ぎするのは、オリンピック精神に反すると思います」と語られました。オリンピックって何だろう? と考える出発点になるようにと紹介されました。

大長 咲子
大長 咲子

 その後、大長咲子副理事長より「絵本講師・養成講座」の学び方について、グループワークの進め方について、説明がありました。続いてグループワークでは、自己紹介をして、受講の動機や絵本への思いを語り合いました。
 自粛生活を経験し、改めて人と人が出会い言葉を交わすことが、どれほど大切なことなのかを実感し、心がひらいた一日でした。(おおにし・のりこ)

 

今回大阪会場第2編のスタッフ

大阪会場第2編のスタッフ

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