2019年度・第2回「絵本講師の会」 全国合同交流会 報告

交流会風景

(2019/10/20 芦屋市民センター)

 


多本ゆき枝 2019年度・第2回「絵本講師の会」(はばたきの会) 全国合同交流会が2019年10月20日(日)、芦屋市民センターで開催され、全国から44名が集いました。司会は多本ゆき枝さん(芦屋12期)。はじめに森ゆり子理事長の挨拶とお話がありました。

理事長の夢は「街を歩けば絵本講師に当たる」ような社会になること。「絵本受付で子育て」センターの絵本講師は高みから知識を教える〝先生〟ではなく、子育て中の人に同じ目線で、絵本で子育てしませんか、と寄り添っていくことだとお話されました。神戸の公立小学校でいじめを受けていた先生が子どもたちに向けて書いた手紙(新聞記事より抜粋)を読まれ、子どもたちに真摯に向き合う先生をいじめていた先生たちは、子どもの頃に絵本を読んでもらった経験があるのだろうか。人の心を育む、心を耕すとはどういうことか……。理事長のお話を聞いて「絵本の読み聞かせで、できること」「私たち絵本講師の役割とは何か」を改めて考えました。

後藤 純子 参加者の自己紹介と支部紹介の後、午前の講座は後藤純子さん(芦屋4期)による「きこえない、きこえにくい子どもへの読み聞かせ」。聾学校(兵庫県では聴覚特別支援学校)の子どもたちのきこえ方は様々で、言葉を音として聞き、状況を読んでいることがあったり、人間には本来聴きたい人の声を聴き分ける能力があるが補聴器は全ての音を拾ってしまうのでとても騒がしく聞こえること、音声はあやふや(にしかきこえない子もいる)だが手話ははっきり分かること、どんな読み聞かせができるかは場によって違うので位置を工夫する(例えば絵本を譜面台のようなものに立てたり、口元がよく見えるように読む)。一人ひとり必要なことも違うので、どうしたらきこえやすいか、分かりやすいかを考えながら子どもに向き合うことが大切とお話されました。音声と手話での読み聞かせはとても分かりやすく、絵本の楽しさが伝わってきて、こんな風に絵本を読んでもらう子どもたちはどれだけ嬉しいだろうと思わず笑顔になりました。

昼食をはさみ、午後の講座は中村史さん(芦屋6期)による「扉を開けて本の世界へ」。本を中村 史読むということは言葉と出会い、人と出会うこと。物語の中で登場人物に共感したり、素敵な大人にも出会えたりする。小さい頃に読んでもらった絵本が一冊あるだけでも読書の楽しみを知っていることになる。速く多く読まなくていいので本当に好きになれる本をゆっくり探してほしい。児童文学には人生は生きるに値するということ、人間への信頼と生きることへの希望が書かれている。それがなければ児童文学とは言えない、と本の世界と読書のよろこびを知る中村さんの言葉は確信に満ちていました。

グループワークでは様々な場所で読み聞かせをしている人、お孫さんやお子さんと絵本を楽しんでいる人、支部の活動など其々の報告や疑問点を話し合いました。

藤井 勇市 時事放談として藤井勇市顧問は今の日本に起きている様々な社会問題を挙げて「この国は完全におかしくなってしまっている。そのことに対して自覚がないということが最も問題だ。社会の様々な歪みに気付いているか。『すみれ島』(偕成社)が読めなくなる世の中になりつつある。子どもと絵本を楽しみたいと思い活動するなら、なおのこと社会の動きや問題点について知っておかなければならない」とお話されました。 池田 加津子

最後に「絵本は本当に心があたたかくなるもの。そのあたたかさを多くの方に伝えていってください」と池田加津子副会長の挨拶で会は締めくくられました。

折しも一週間前の13日は中川正文先生のご命日。先生の言葉が年月を経るごとに自分の中で大きくなっています。私たち絵本講師一人ひとりの小さなはばたきが社会をよりよい方へと向かわせる風になるように。そんな思いを持ちながらこれからも頑張っていこうと思いました。

 

(くが・やよい) 久賀 弥生