第20期「絵本講師・養成講座」大阪会場

第20期「絵本講師・養成講座」大阪会場第4編 2023年10月21日(土)

人間と人間を繋(つな)ぐもの (報告 後藤 純子)

 

 第20期「絵本講師・養成講座」大阪会場第4編が2023年10月21日(土)、CIVI研修センター新大阪東にて開催されました。肌寒い一日でしたが、熱い学びを得ることができました。

 加藤美帆(芦屋3期)さんの司会で、午前中は故中川正文先生のご講演「絵本・わたしの旅立ち」をDVDで視聴しました。中川先生は「平座」で絵本を読むことの大切さをお話しになりました。「与える」のではなく、同じ平面で同じ経験を共有すること、親が感動したことを子も経験する、その経験の積み重ねが親子共に成長することになるということが心に残りました。

 講演の最後は『すみれ島』(今西 祐行/文、松永 禎郎/絵、偕成社)の朗読でした。

 出かける前に、10月21日は1943年に第1回出陣学徒壮行会が行われた日だったことをラジオで聞いていたので、出撃した若者、壮行会に参加した学生のことを思い、「出撃の号令がかからない世の中」を次の世代に伝えなければならないと思いを新たにしました。

 午後は、「子どもに絵本を届ける大人の心構え」と題して、藤井勇市顧問が講演されました。中川正文先生、むのたけじ先生に「絵本講師・養成講座」でご講演いただいたこと、今の日本は、政治の在り方だけでなく、大人の在り方も危うくなっているということを、コミュニケーションのできない大人の例を示して話されました。

 また、最近のニュースも取り上げ、報道されている情報を受け取るだけでなく、その情報について自分でも考えたり、話し合ったりすることが必要と話されました。そして、子どもに絵本を届けることで大人と子どもの間に親密な関係を築くこと、自分を大切にできる大人が他の人も大切にできると話されました。 

 大長咲子副理事長(芦屋1期)からは、「絵本講師・養成講座の学び方」として、講座等で絵本を紹介する時の注意点についてお話がありました。

 グループワークでは、「初心にかえって子どもと同じ平面で関係を作っていきたい」「社会のいろいろなところに目を向ける必要を感じた」などの発言があり、それぞれのグループで活発な話し合いが行われました。

 一日を通して、私も子どもと大人の間に絵本のあることの大切さを学びました。そして、藤井顧問のレジュメの言葉が一日のまとめとして私の心に残りました。ここに引用します。

 《絵本とは、いわゆる本の形をしたものだけをいうのではありません。育った村の風のそよぎ、木々のゆらぎ、雲の流れ、祖母の温かなお話、おふくろの忙しく立ち働く姿、それらすべてが私にとっての絵本です。そういうものが人間と人間を繋(つな)ぐ「絵本」ではないでしょうか。そういうたくさんのものを心と身体全体で吸収して、子どもたちが本当の意味での「大人」に育っていくのです。》

 これからも、人とつながり、絵本講師として学んでいきたいと感じた一日となりました。

(ごとう・じゅんこ)

  

 

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