第16期(2019年度)「絵本講師・養成講座」Tokyo#2

第16期 絵本講師・養成講座会場風景

東京会場第2編  2019年7月27日 (土)

報告者 東京9期  岡 美佐緒

報告者 東京9期 岡 美佐緒

読み聞かせについて

 第16期「絵本講師・養成講座」東京会場第2編が、2019年7月 27 日(土)飯田橋レインボーホールに於いて開催されました。会場周辺は、梅雨明けを待ちきれないとばかりの蝉の声が響いていました。蒸し暑さを吹き飛ばすような司会の中村利奈さんの爽やかな声で講座がスタートしました。

  午前の部は、「絵本のよろこび」と題した松居直氏の DVD 講演です。松居先生は、出版という仕事で一番大切なのは読者、とお話を始めました。全国の読者に会って話すことが次の仕事への大きな意味となったそうです。

 20 世紀は、命を持たない「お金」と「物」が中心の時代であったこと、そんな中で見失ってしまってもののひとつが「言葉の力」だということ。先生は、ご自身の幼少期の様々な経験、3 人のお子さんとの父親としてのエピソードを交えながら、子どもたちが学校教育や保育を受ける前の、「家庭での言葉の体験」が大切であると幾度も繰り返し話されました。サン・テグジュペリの『星の王子さま』の「大切なことは目に見えない」という一節から、この世には「言葉」「時間」「愛」「悲しみ」など目に見えないものがたくさんある。子どもたちに大切なものが目に見えるように育てること、すぐに教えてしまうのでなく生活の中で伝えていくことが読書の前の段階で大事だとのお話でした。

  編集者として多くの絵本を私たちに届けてくださった松居先生ですが、絵本を読んでもらった人の心に残るのは作者が誰であったかでなく、読んでくれた人(お母さん、お父さん、先生、図書館の人)のことである、「絵本は読み手のもの」という松居先生の一言が心に強く残りました。

とよた かずひこ 氏


 休憩をはさみ、午後の部は絵本作家とよたかずひこ氏の講演です。 「でんしゃにのってももんちゃんがやってくるー自作を語るー」の演題の通りたくさんの絵本や紙芝居をとよた先生が読み聞かせてくださいました。絵本を作ることになったきっかけは、娘さんが幼稚園でもらってきた月刊絵本を見て「これなら自分にも作れる。」と思ったことだそうです。最初の絵本が出るまでの経緯やそれぞれの作品にまつわる貴重なエピソードをお聞きすることができました。 『でんしゃにのって』に登場する駅名にまつわる愉快なお話(「ここだ」駅が実在する駅だったなんて!)、 野球を通して交流していた一人の少年との久し振りの再会がきっかけとなり『はい、たっち』が生まれたというお話、また、幼い娘さんと電車を見に行ったことが『でんしゃがくるよ』の下敷きとなっているとのこと。ユーモア溢れる先生のお話に会場は和やかな空気で一杯になりました。何気ない日常の小さな体験がベースにあるからこその安心感が、とよた先生の絵本の魅力だと改めて感じました。

 絵本は、「もういっかい」「もういっかい」とくり返しよんでもらうことが大事なことであり、斬新でなくてよい。読んでもらった時にわからないことがあったとしても、あとで体験して知ることもあるので、わかることにこだわらない。大人には物足りないものであっても、子どもの期待に応えることが大事等、絵本を作る上で大切にしている思いも伺うことができました。先生の読み聞かせを堪能させていただき、久しぶりに「読んでもらう」楽しさと心地良さを味わった時間でした。 

いけだ かずこ

 その後、池田加津子理事から「絵本講師・養成講座」の学び方についてのお話がありました。「読み聞かせ」についての当センターの考えとして、家庭での読み聞かせの大切さ、言葉を家庭に取り戻す事の大切さを伝えて行くのが絵本講師の役割とのお話でした。

おおくぼ ひろこ

  続いて、グループワークです。はじめに、大久保広子さんの『いない いない ばあ』の読み聞かせの実演があり、その後各グループにおいてお一人ずつ『いない いない ばあ』の読み聞かせをしていただきました。何度も読んでいる方、人前で読むのは初めての方と様々でしたが、皆さんの心を込めた『いない いない ばあ』の声が会場に広がり素敵な時間でした。 
  
次回の講座は、9 月 28 日です。厳しい暑さを乗り越え、涼しい秋風の舞う東京で皆さまと再びお会いできるのを楽しみにしています。
(おか・みさお)

会場風景

(東京会場第2編 会場風景)