若葉が目にしみる季節になりましたね。次々と芽を出す草花や、日に日に緑濃くなる街路樹を見ていると、改めて自然の巡りの不思議を感じ、粛然とした気持ちになります。子どもと過ごす日々のおかげで、私の中の錆びついていた「センス・オブ・ワンダー」が少しずつ磨かれてきたようです。
先日の昼下がり、幼稚園の庭で、一筋の飛行機雲が青空にスーッと伸びているのを見て、友人が「飛行機雲が消えないと天気は下り坂、なんだって」と言いました。週間天気予報はずっと晴れマークだったけどなあと思いましたが、その晩、本当に雨が降ったのです。そして、翌朝は爽やかに晴れました。友人と私と子ども達は、「ほんとに降ったねー」と目をきらきらさせて喜び合いました。
『あしたのてんきははれ?くもり?あめ?』(野坂勇作/さく、根本順吉/監修、福音館書店)は「観天望気」という、雲や風向きや動物の様子を観察して天気を予想する方法を紹介しています。その土地ならではの天気の見方があって、昔から人々は自然との語り合いによって天気を予想してきました。農業や漁業などは、天気が仕事や生活に直接大きく影響するからです。
私は子どものとき、「あの山が近くに見えたら、天気は下りだよ」と母に教えられてからは、その山の表情がいつも違って見えるようになりました。黒々と迫って近くに見えるときもあれば、青々と茂る木々がはっきりと遠くに見えるときもあるのです。遠足などの前には、祈るような気持ちで眺めました。
都市生活と天気の関係は薄いかもしれませんが、自分だけの天気予報を発見し、これが当たったときの喜びはひとしおです。自分の足で立って生きているという、ささやかな満足感を得ることができます。
科学絵本は、知識欲を満たしてくれるだけでなく、物語を通して、さらなる疑問や自然の神秘性に気付かせてくれます。 |