「育てる」ために大切なもの
第12期「絵本講師・養成講座」芦屋会場第4編が10月24日、爽やかな風の吹く秋晴れの中、ラポルテホールにて開催されました。
午前中は、森ゆり子理事長による講演で受講者を保育園に通う子どもを持つ保護者に想定しての「絵本を読んで上げましょう」の講演でした。
『ちびゴリラのちびちび』(ルース・ボーンスタイン/さく、いわたみみ/やく、ほるぷ出版)に始まり、『いない いない ばあ』(松谷みよ子/文、瀬川康男/画、童心社)、『いいこってどんなこ?』(ジーン・モデシット/文、ロビン・スポワート/絵、もきかずこ/訳、冨山房)などの読み聞かせを交え、子ども達に「愛」を伝えるということを中心に子ども達の成長にはどういったことが必要か、絵本はどのような役割を果たすか、といったことをお話くださいました。
各々の絵本に書かれている「大好き」「そのままでいいんだよ」という言葉で「愛」を伝えましょう、子どもたちを丸ごと受け止めスキンシップや言葉でしっかり抱きしめてあげましょう、とお話される理事長の穏やかで愛情溢れる声に受講生の方々も真剣に頷き、温かい気持ちになって微笑みを浮かべて聴いておられました。
午後からは小児科医・片岡直樹先生の講演でした。子ども達の発達や、近年特に増えてきているメディアの過剰な使用が与えると思われる影響(症状)について、ユーチュウブ動画で説明してくださいました。
また、その問題を回避するのには何が必要であるかを脳の働きと子ども(特に0~2歳ぐらいまでの乳児)の発達段階の説明をしながらお話くださいました。
子ども達にとって、五感を養うこと、実体験を通して色々な感情を体験することがいかに大切か、また、その時脳内ではどのような働きが行われているか、多くの臨床経験を持っておられる先生のお話を受講生は興味深く聞いていました。
藤井勇市専任講師から本日の毎日新聞に記載された柳田邦男氏のコラム『深呼吸』についての紹介がありました。消費税引き上げに伴う軽減税率についての記事の中で柳田氏が絵本の読み聞かせの大切さについて触れておられるものでした。
多くの受講生の方々がメモを取っておられたので、きっと講座後の会場近辺の売店等では新聞の在庫を聞かれたところが多かったのではないでしょうか。
「絵本講師・養成講座」も後半に入り、各グループでは熱心な話し合いがされました。
今の子ども達を取り巻く社会、家庭環境の中で「絵本講師」という立場で何ができるだろうといった本質的な点についてお話をされていたグループも少なくないようでした。
昔とは大きく異なってしまった現代の家庭、社会環境による影響は、色々な形で現れ子ども達に降りかかってきます。そこにある問題に対して私たち大人はどう関わって行くか、何ができるか。個人の力は微力であっても絵本を介してできることを学んで行きたいと思います。
(なかの・ひろみ)
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