私の絵本体験記

「絵本フォーラム」122号(2019年01.10)より

「父と子のコミュニケーションタイム」

 佐々木 聡明  (大阪府)

父と子のコミュニケーションタイム  佐々木 聡明 双子を妊娠し期待と不安を抱えた妻に前向きな協力をしたい、と妻のお腹の中にいる時から読み聞かせを始めました。

 「読みたい絵本持っておいで」と声をかけると、お気に入りの絵本を片手にやってきて胡坐をかいた膝の上にピタッと並んで座ります。そして私が読みたい絵本と計3冊を就寝前に読み聞かせすることが日課となりました。二人の背中のぬくもりを感じながら過ごした時間は、今思い出すととても贅沢な時間でした。

 読み聞かせの途中、猛烈な眠気に襲われ必死に読もうとするのですが、呂律が回らなくなり声がフェードアウトしそうになると、子どもたちに「ちがう!」と頬をピシピシたたかれたことも良い思い出です。

 印象に残っている絵本は、『きんぎょがにげた』(福音館書店)です。「どこににげた?」と訊くと、「ここ!」と二人揃って指をさしニコッと私を見つめる眼差しがとてもキラキラしていました。もう1冊は『くだもの』(福音館書店)です。「はいどうぞ」と言うと、絵本に手を伸ばしモグモグ食べる真似をしていました。ある時、絵本に手を伸ばしたあと、私に向かって「はいどうぞ」とくれたことを今でも鮮明に覚えています。

 何となく始めた読み聞かせでしたが、子どもたちが10歳になった今も比較的良好なコミュニケーションを取れている(と私が思っているだけかもしれませんが……)のも読み聞かせが一要因ではないかと思います。そして今日は、妻が『はてしない物語』(岩波書店)を読み聞かせて就寝しました。
(ささき・としあき)

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