21期 東京会場第2編


2024年7月20日(土)

「命を支える言葉」を子どもに伝える

司会 大久保広子
司会 大久保広子

第21期「絵本講師・養成講座」東京会場第2編が2024年7月20日(土)、飯田橋レインボービルで開催されました。

本格的な夏到来を思わせる厳しい暑さの中、会場に受講生の皆さんが続々と集まり、大久保広子さん(東京5期)の司会で講座が始まりました。

故 松居 直氏
故 松居 直氏

午前の部は、「絵本のよろこび」という演題で、松居直氏のDVD講演が行われました。松居先生は、「最近の日本は想像もできないような問題が子どもたちを襲っている。これから社会はどうなっていくのか心が痛む」と話され、「今一番大切なのは、幼稚園や学校に行く前の時間、大人たちが生きた言葉を日常生活で使い伝え、乳幼児期に子どもと言葉の関わりをたくさん持つこと」と熱く語られました。そして、「絵本とは親が家庭で子どもに読んであげて伝えるもの。子どもは言葉というものを意味で覚えるのではなく、その時の情景で覚えている。親が自分に話をしてくれるのは、子どもにとっては喜びの体験。目に見えない大切なことや命というものがどういうものかを生活の中で、子ども自身が心で感じられるようにいきいきと伝えてほしい!!」という言葉が心に響きました。

松居先生の講演を聞き、絵本講師として、生きた言葉を子どもたちに伝えていくことの大切さを改めて感じ、子どもたちと関わる大人たちにも、その大切さを伝えていく必要があると感じました。

吉井 康文氏
吉井 康文氏

休憩をはさみ、午後の部は「子どものこころを育てる絵本の世界」と題して、吉井康文氏の講演が行われました。吉井先生は、「最近の子どもたちは、聞く力が弱くなっている。また、ゲームやSNSなどのメディアの影響により肉声が失われ、コミュニケーションができない子どもたちが増えている。メディアは便利で見えるものを得ることはできるが、人間にとって大切な見えないものを失ってしまう。子どもの心を育てるのには、スキンシップ、アイコンタクト、肉声が大事。肉声は『人格を持った言葉』であり、肉声での語りかけが重要」と話されました。そして、吉井先生選りすぐりの絵本を紹介してくださり、「子どもたちには見えない力と記憶力がある。読み続けられている絵本は時代が変わっても普遍性がある。子どもは一人では絵本と出会えない。そこには絵本と出会わせる大人がいる」と話されました。

大長 咲子
大長 咲子

その後、大長咲子副理事長(芦屋1期)から「絵本講師・養成講座」の学び方の説明があり、グループワークとなりました。各グループに分かれて一人ずつ読み聞かせをし、絵本や読み聞かせについて話しあったり、講演について感想を発表したりと、有意義な意見交換の時間となりました。

最後に、講評された第1編の課題リポ―トを手にし、満面の笑みで会場を出ていく受講生のみなさんを目にし、今日の講座が充実したものであったことを感じました。私自身、生きた言葉を子どもに伝えることの大切さを実感した一日となりました。(おおいで・あゆみ)

大出 あゆみ
大出 あゆみ