2024年12月21日
子どもの心を育むことを考えた一日
第21期「絵本講師・養成講座」大阪会場第5編が2024年12月21日(土)
CⅠⅤⅠ研修センター新大阪東にて開催され、加藤美帆さん(芦屋3期)の司会で始まりました。
午前は、森ゆり子理事長による講演「絵本を読んであげましょう」です。受講生を保育園児の保護者と設定。新聞記事から心温まる運動会エピソードを紹介され、心を育むということを一緒に考えましょう、と話し始められました。
人の感情は対になって育つもの。身近な大人と基本的な信頼関係を築くことができれば、自尊感情が芽生える。親が子どものことを思っていても愛情がきちんと伝わらない場合があるけれど、絵本の読み聞かせではどの子どもにも愛を伝えることができる。絵本は幸せな時を思い返せる“心のアルバム”なので、手放さず手元に残しておいてほしい、と話されました。
よい絵本の条件はあるものの、目の前の子どもの興味関心に合った絵本を選ぶことが大切。子どもがじっと聴いてくれないと悩む親もいるけれど、小さい子はお話1割・コミュニケーション9割と考えて一緒に過ごすことが大事。こうでなければと思い過ぎず楽しく読むことです、とアドバイスされました。
松居直氏とご子息の松居友氏のことばを紹介され、親が自分一人では伝えきれない、人として大切なことや多様な価値観を絵本で伝えることができる。愛をしっかり伝える絵本から徐々に、問題提起する絵本へと移っていき、子どもの中にしっかりしたものを育てること。IT機器とのつきあい方も考えてほしい。親子で絵本を読んで心揺さぶられる感情体験により心の基礎体力をつけましょう、絵本の力を借りて子育てしてほしい、と締めくくられました。
午後は、片岡直樹氏の講演「テレビ・ビデオ・スマホが子どもの心を破壊している」です。
世の中でITが発達すればするほど、子どもの育ちは貧しくなってきている。乳幼児期の音光環境(テレビ・スマホ・電子おもちゃなど)と早期教育(早期事物接触)が親子間の応答環境を破綻させ、愛着障害を引き起こし、ことば遅れになる。生まれた時にはみんな白紙状態で、赤ちゃんの神経回路は親がつくるが、応答環境がなければ自己認識の発達不全が起こる。話ことばが出ないまま読み書きことばを教えると流暢な会話ができなくなる、と話されました。
子どもの育ちには、勤労体験(お手伝い)、挫折・困難体験、欠乏体験が特に不可欠である。実体験や昔ながらの遊びが五感を育て、人間らしい「心の理論」が脳に育つ。「ゲーム脳」の脳波は認知症高齢者の脳と同じで、前頭前野が働かない状態を示す。だから電子メディアに子守りをさせるのは危険だ、とデータや図を示し、映像で事例紹介しながら解説してくださいました。生まれた時からスマホがある環境で、子どもの心とことばを育てる難しさと大切さを感じた時間でした。
大長咲子副理事長から最終課題リポートの書き方説明があった後は、グループワーク。講演内容や最終課題について活発に意見交換がされました。次回は閉講式です。きっと皆さん晴れやかな笑顔で臨まれることでしょう。(たもと・ゆきえ)
会場風景
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