2024年8月24日
子ども時代に絵本を楽しむ。そして、いつかしら絵本が人生の道しるべに……
第21期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2024年8月24日にCIVI研修センター新大阪東において開催されました。猛暑の中でしたが、受講生は元気に参集し、司会の加藤美帆さん(芦屋3期)の爽やかな声で開講となりました。
午前の部は、「絵本から、しみじみと感じること、教えられること、いくつか……。」と題しての飫肥 糺氏の講演でした。
飫肥先生は『いたずら きかんしゃ ちゅうちゅう』、『ちいさいおうち』、『はだかの王さま』などの絵本から、その絵本が描かれた時代背景や絵本に込められた作者の想いやメッセージを紐解いてくださいました。それは自由を謳歌する生き生きとした子どもの姿であったり、文明の発達と自然との共生であったり、権力社会への皮肉であったり……。私たち人間が常に突きつけられている課題なのではないかと思いました。また、このような絵本は時代を超えて大人にも子どもにも読み継がれていく普遍的なテーマを持つ絵本になると話され、まずは子ども時代に沢山楽しむことで大人になった時に深く感じることが出来るようになるとのことでした。
そして、最後に平和に言及され、暴力に委ねることなく争いを解決するには「文化・芸術」が有効であること、またゆっくりと我慢強く「対話」を重ねていくしかないと話されました。相手の気持ちも考えながら自分の想いを伝える「対話」の技術を獲得するためには絵本がとても大きな力を発揮すると改めて感じました。
午後の部は、「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる-自作を語る-」と題した、とよた かずひこ氏の講演でした。
自作の絵本や紙芝居をたくさん披露してくださり劇場のような会場となりました。絵本作家の立場から絵本や紙芝居が出来るまでの経緯や苦慮したことなどエピソードを交えて楽しく話され、受講生から笑い声が上がるなど終始和やかな雰囲気に包まれた講演でした。
とよた先生の「(絵本や紙芝居に)外側の世界をどう取り込むかが作家の仕事」という言葉がとても印象的でした。年齢によって感じ方や理解の度合いに違いがあることを踏まえ、生活空間で起こる様々な事象を切り取りながら絵本に投影していく作業が作家の仕事であり、何より実際の子どもの様子や反応を大事にしているからこそ多くの親子に支持される絵本が出来上がるのだと感じました。
そして、絵本自体の面白さというより親が子どもに読んであげて、子どもが親に読んでもらって、親子で楽しむ、そこに絵本の良さがあると話されていました。まさに読み聞かせの醍醐味を改めて感じる講演となりました。
講演後は、大長咲子副理事長(芦屋1期)から「絵本講師・養成講座」の学び方の中で、講座で使用する絵本など著作物にかかる著作権者の許諾の必要性について説明がありました。最後は、恒例のグループワーでしたが、講座の感想なども含めてどの班も時間が足りないくらい活発な意見が交わされていました。
(あだち・かよこ)
会場風景
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