2023年9月16日(土)
第20期「絵本講師・養成講座」東京会場第3編が2023年9月16日(土)、飯田橋レインボービルにおいて開催されました。
司会は勝村美幸さん(東京5期)です。
午前の部は、「現在の課題をめぐって……。絵本は何を語り、何を考えるか。」と題した飫肥糺氏のご講演です。ロシアとウクライナ、ジャニーズ、外国人実習生制度、ジェンダー、気候変動、エネルギー問題等、現在のこの国(私たち)が抱えている多岐にわたる問題についてお話くださいました。
また、「人権尊重」と言われながら、児童虐待の対応件数が20万を超えるこの国では人権は尊重されていない、と話されました。このような問題は絵本とは何の関係もないのでは、と考えがちかもしれません。
『森のおはなし』『世界で最後の花 絵のついた寓話』『平和って、どんなこと?』等、飫肥先生がご紹介してくださった絵本は命・平和・戦争について考えさせられる絵本ばかりでした。作者の意図ではなくても、良質な絵本の中には人権の問題が描かれていると飫肥先生はおっしゃいました。
飫肥先生のお話をお聴きして一人ひとりの人権が守られてこそ、平和に繋がるのではないかと思いました。「あなたにとって平和ってどんなことですか?」という飫肥先生の問いかけが今も胸の奥に残っています。
午後の部は絵本作家とよたかずひこ氏のご講演です。「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる―自作を語る―」の演題の通り、たくさんの紙芝居、絵本を読み聞かせてくださいながらのお話でした。〝おっちゃん野球〟での30年に渡る少年たちとの交流やその中の一人の少年との偶然の再会から『はい、タッチ」』が誕生したというエピソードにとよた先生の温かなお人柄を感じ会場は和やかな空気で一杯になりました。
赤ちゃん絵本は大人には物足りなくて当たり前、くり返し読んでもらってわかっていることでも小さい人には安心の確認、とのお話は絵本講師としてしっかり心に刻もうと思いました。「ももんちゃん」シリーズをはじめ数え切れないほどたくさんの絵本を世に生み出しているとよた先生、〝時代に流されない何度も読んでもらえる〟作品を目指したいとの言葉に絵本作家としての矜持を感じました。
とよた先生の読み聞かせを堪能させていただき、「読んでもらう」楽しさと心地良さを味わった時間でした。
その後、池田加津子理事(芦屋2期)から「絵本講師・養成講座」の学び方についてのお話がありました。絵本講師と読み聞かせボランティアとの違い、絵本講師は寄り添い共に学んでいく姿勢が大切であること、受け身でなく自ら調べることも学びのひとつであること、著作権についての注意点などを話されました。
続いてのグループワークは、講演の感想や課題リポートについてなど、活発な話し合いが行われ、あっという間の時間でした。皆さん、名残惜しそうに会場をあとにしました。
(おか・みさお)
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