2023年8月19日(土)
第20期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2023年8月19日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。台風が去り暑い日差しの戻るこの日、受講生は清々しく集い、司会の加藤美帆さん(芦屋3期)より開会の挨拶が告げられました。
午前の部は、飫肥糺氏の「現在の課題をめぐって……。絵本は何を語り、何を考えるか」と題してのご講演から。「人間はとても素敵な生き物、だけどすぐに忘れてしまう」と始まり、マイナカード、異常な天候、人権とジェンダーへの関心と理解、外国人労働者の現実、そして子どもの貧困や教師不足など、現在の日本における数々の課題についてのお話があり、「そんなことを考えよう、何とかしようとする大人が少なくなっている」と問題を提起されました。
優れた絵本作家たちの作品を子どもたちと楽しむ、そして「もしそこに何か哲学が潜り込んでいるとしたら」と繋がります。『世界で最後の花 絵のついた寓話』(J・サーバー/作・絵、村上春樹/訳、ポプラ社)、『平和って、どんなこと?』(W・エドワ-ズ/さく、おび ただす/やく、六燿社)などを紹介されて、人間もウミガメも森も同じ生物だ。命を生かし合い、戦争をしないためにどうすればいいのか。それぞれに違うことばかりの世の中で、「外を歩く人は何をしているのだろう、と人を思いやる心をもち、平和について考え続けることが大切だ」と、力強いお声で聴講者の心にメッセージを届けてくださいました。
午後は、とよたかずひこ氏のご講演です。紙芝居『はい、タッチ』(とよたかずひこ/作、童心社)をはじめ、絵本『どんどこももんちゃん』(とよたかずひこ/作、童心社)『でんしゃにのって』(とよたかずひこ/作、アリス館)などの読み聞かせにワクワクしたりほろりとしたり。地元の子どもたちとのおっちゃん野球の心温まるお話、紙芝居や絵本を作成するにあたってのエピソード、さらには絵本を描いてみたい人へ「最後まで描ききってみて」とのアドバイスまで頂きました。
絵本を楽しむ「ちいさな人たち」から「読み手の大人」も楽しめるお話しづくり、そこには全国の子どもたちへの読み聞かせや心の触れ合いを大切に重ねてこられたとよた氏の温かくて強いエールを感じるのでした。
続いて、大長咲子副理事長(芦屋1期)より当講座の「学び方について」のお話がありました。ボランティアと絵本講師の違いについて、著作権についてなど。また、テキストの内容を自ら積極的に調べて学ぶ姿勢が大切だ、とのお話もありました。
最後はお楽しみのグループワークです。どのグループでもお一人おひとりが積極的に参加されておられました。ご講演の感想、絵本を通して平和・戦争について子どもたちと一緒に考える可能性、家族で絵本を仲立ちに過ごす時間の大切さなどについての話し合いが和やかに盛り上がったのでした。先生方のサイン入り絵本や返ってきたリポートを胸に、充実した笑顔を見せながら会場を後にする受講生の後ろ姿に、ともに学ぶ喜びを感じつつ第3編は終了しました。
(ゆだて・ようこ)
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