2022年10月15日(土)
第19期「絵本講師・養成講座」大阪会場第4編が2022年10月15日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。少し蒸し暑い秋晴れの中、34名の受講生が出席され、加藤美帆(芦屋3期)さんの司会で講座が始まりました。
午前の部は、故中川正文先生の「絵本・わたしの旅立ち」と題した講演DVDを視聴しました。懐かしい先生のお姿、穏やかなお人柄、そして優しい声に会場が和みます。先生は子どもに絵本を届けることは、人間が人間に大事な文化や心を届けているということだとおっしゃいました。
だからこそ子どもに絵本を「与える」「下ろす」という考えではなく、一冊の絵本を仲立ちにして同じ平面(平座)で経験を同じくし共に成長することが大切であるとお話しされました。
また、一度見て理解できる程度の内容を一方通行で流すのがテレビで、一度読んだだけでは理解できない内容を繰り返し読むのが絵本だと、両者の違いを示し、大人が何度読んでも読み飽きないものを選ぶことが大事だと教えてくださいました。子どもには一番素敵な絵本を選ぶようにと、お気に入りの豆本を愛おしそうに手にしながらお茶目に話される先生の笑顔が印象的でした。
そして、人が優しい気持ちを持つということはどういうことかと問い、『すみれ島』(今西祐行/文、松永禎郎/絵、偕成社)を朗読してくださいました。平和の有難さや大切さを伝えていきたいという先生の想い、「今日もリンゴの木を植える。明日地球が滅びようと。それが人間の生き方の大事なことです」という力強い言葉にあらためて心がひきしまりました。
休憩を挟み、午後の部は藤井勇市顧問の講演です。「故中川正文先生の思い出」、「あれやこれやといまおもうこと」、「子どもに絵本を届ける大人の心構え」の三部立てです。まず初めに『すみれ島』の絵本を紹介してくださり、絵から伝わる平和への思いや、中川先生の思いをお話しされました。
そして「絵本講師・養成講座」のためにお力添えいただくことになった経緯、『きつねやぶのまんけはん』(中川正文/作、伊藤秀男/画、NPO法人「絵本で子育て」センター)を出版した際のエピソードなどを、慈愛とユーモアにあふれる中川先生のお人柄に触れながら、お話くださいました。
また危うい社会が到来している今、私たち大人は社会が抱えている様々な問題に無関心にならず、その時代の危うさを感じ取る感性を持ちしっかり考え、次の時代に生きる子どもたちに何が大切なのかを伝えていかなければならないと問題提起もされました。そして最後にご自分のお母さまやお祖母さまとの思い出から、大好きな人の声、背中で聞いた昔話、同じ時間を共有した思い出のすべてが絵本であり、絵本を仲立ちにして親子の絆をつないでいって欲しいと結ばれました。
講演後、大長咲子(芦屋1期)副理事長から養成講座の学び方の説明があり、グループワークに移りました。グループワークでは、課題リポート作成に向けた疑問や意見の交換や講演の感想などが話され、受講生の皆さんの真摯な気持ちが伝わり、私も共に学びの喜びを感じた一日になりました。
(あさこし・さちこ)
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