19期 大阪会場第3編


2022年08月20日(土)

平和について考える

 第19期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2022年8月20日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。雨雲かかる残暑の中33名の受講生が集い、司会の加藤美帆(芦屋3期)さんより爽やかに開会の挨拶が告げられます。

飫肥糺
飫肥糺

 午前の部は飫肥糺氏の「絵本は、平和を 戦争を どのように描いているか〝平和〟の視点から。」と題したご講演です。この国が困った方向へ向かっている、いつの時代にも不穏な動きに巧みに巻き込まれた人々の間違った行動があり、私たちは今も、選択を間違えているかもしれないと警鐘を鳴らします。幸いにも多くの良質の作家たちが楽しい絵本の中で正しく望ましい生き方を表現し、作品に触れる子どもたちが心で感じて気づくことができるとも。

 『火星にいった3人の宇宙飛行士』(U・エーコ/さく、E・カルミ/え、海都洋子/やく、六耀社)では知らないことが争いとなり、言葉を交わすことが争いをおさめると。『せかいでいちばんつよい国』(デビッド・マッキー/作、なかがわちひろ/訳、光村教育図書)の楽しい絵に見る平和な暮らし、豊かさ、幸せ。戦わない、戦争しない国、それは第9条で守られるべき日本の姿では? と問いかけます。『平和って、どんなこと?』(W・エドワ-ズ/さく、おびただす/やく、六耀社)からは、平和とは穏やか、日々の当たり前、安心、抑圧する関係がない等、絵本から溢れるメッセージを受け取り、正しい大人の生き方と、それを子どもと話す大切さを考えました。

とよたかずひこ
とよたかずひこ

 午後にはとよたかずひこ氏によるご講演です。紙芝居『ひこうきくんとおふねさん』(童心社)に会場が和みます。地元で長年続く“おっちゃん野球”は子どもたちとの心のふれあいを。親子向け読み聞かせの場面等、数々の作品やわらべうた新シリーズ誕生につながる興味深いお話に心が温かくなります。折に触れ紙芝居や『どんどこももんちゃん』(童心社)、『でんしゃにのって』(アリス館)などの読み聞かせを聞く心地よさ。とよた氏の声や軽快な電車の音を聞くとなぜこんなにワクワク楽しい気持ちになるのでしょう。「絵本を届けたい年齢層ははっきりしている」と、日常の場面を切り取る目線、わらべうたのオノマトペに心惹かれて展開される柔軟な思考、新進気鋭の絵本作家さんの原画展から新たな気づきや学びを得て、これから作りたい作品に向けての意欲を語られます。その時間の流れを楽しむお姿に希望と元気をいただいた受講生とスタッフでした。

大長咲子
大長咲子

 大長咲子副理事長(芦屋1期)よりの「学び方」では、ボランティアと絵本講師の違い、著作権の許諾、テキストの読み込み方等、絵本講師として活動するにあたり自覚が深まります。グループワークは和やかな談笑の中、講演内容の考察を互いに深め合う充実した時間となり、受講生の方々のまなざしに頼もしさを感じます。それぞれの胸一杯に学びを得た会場に、次回も多くの受講生が参加されることを願いつつ帰路につきました。

(ゆだて・ようこ)

弓立瑤子
弓立瑤子