第16期絵本講師養成講座

報告者
後藤 純子
芦屋4期
後藤純子
第3編 〜 絵本講座について 〜
2019年8月17日(土)CIVI研修センター新大阪
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

第16期「絵本講師・養成講座」

「絵本を読むことの意味を学ぶ」

司会 熊懐 賀代 第16期「絵本講師・養成講座」(大阪会場第3編)が、2019年8月17日(土)、CIVI研修センター新大阪東にて開催されました。台風が関西にも接近し、通過した後だったのですが、大きな影響を受けることなく開催することができました。

 午前は、飫肥糺先生が「題材が証していく絵本の主題」という題で飫肥 糺 氏講演されました。絵本の話に入る前に、今、表現の自由が失われつつあること、「グローバリズム」「新自由主義」が貧富の差をもたらしており、そのことが子どもの貧困や児童虐待につながっているというお話がありました。

 その後で『ぼくにげちゃうよ』(M、W・ブラウン/文、C・ハード/絵、岩田みみ/訳、ほるぷ出版)、『だるまさんが』(かがくいひろし/作、ブロンズ新社)、『よっ、おとこまえ!』(いがらしあつし/作、絵本塾出版)、『平和って、どんなこと?』(W・エドワーズ/作、おびただす/訳、六耀社)の4冊を取り上げて、読み聞かせとともに、その絵本の主題(テーマ)と題材(モチーフ)をお話しくださいました。『だるまさんが』の「だるまさん」はもともとは厳しい修行をしていた達磨という僧であること、その「だるまさん」が四股を踏んだり、転んだりするという題材を通して、身体を動かして遊ぶことの楽しさ、大切さが伝わってくる、というお話に、子どもたちがこの絵本を好きなのは、主題を分かっているからなのだと納得しました。

吉井 康文 氏 午後は吉井康文先生の講演「絵本の絵を読む魅力と大切さ」でした。吉井先生はまず、「ゲーム依存」がWHO(世界保健機関)によって、病気あるいは障害として分類されたこと、発達障害や愛着障害の子どもが増えていること、一方で内閣府の調査で2歳児、3歳児でもインターネットを見ている子がいると指摘されました。そして、絵本は大人と子どもをつなぐコミュニケーション手段であり、コミュニケーションに不可欠な「スキンシップ」「アイコンタクト」「肉声」の3つがそろっている、ということからお話が始まりました。たくさんの絵本を用意され、本文中の絵だけでなく、見返しや表紙、裏表紙の絵にも作者のメッセージが込められていること、絵を読んでいる子どもはそのメッセージを受け取っているということをお話しされました。大長 咲子

 「『絵本講師・養成講座』の学び方について」では、大長咲子副理事長より、絵本講座を有償で行っていることの意味や著作権について説明がありました。藤井勇市顧問からは、子どもたちが今生きている社会、これから生きる社会を考えたときに、親子の関係、人と人との関係を大切にすることが必要で、そのために「絵本で子育て」することを広げていきましょうというお話がありました。また、8月17日付朝日新聞の天声人語をひいて、2022年から実施される高等学校学習指導要領で文学教育が軽視されていることを紹介されました。

藤井 勇市

 

 グループワークは3回目ということもあり、各グループでそれぞれ活発な話し合いが行われ、著作権や絵本講座についての質問も出されました。

絵本を読むことは普段の生活で行っていることですが、その積み重ねが人と人との関係をつくり、社会で生きることにつながると感じた一日でした。

 

(ごとう・じゅんこ)ごとう・じゅんこ


大阪会場第3編養成講座ぼ風景
(大阪会場第3編 会場風景)

第16期「絵本講師・養成講座」
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