第15期絵本講師養成講座

報告者
市川 洋美
東京8期
市川 洋美
第4編 〜 絵本講座をやってみよう 〜
2019年1月19日(土)飯田橋レインボーホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

第15期「絵本講師・養成講座」

「話し言葉」と「読み書き言葉」

中村 利奈 第15期「絵本講師・養成講座」東京会場第5編が2019年1月19日(土)、飯田橋レインボーホールにて開催されました。  

 午前は森ゆり子理事長の絵本講座です。受講生の皆さんを、保育園の保護者と仮定して「絵本を読んであげましょう」と題した講座が始まりました。理事長が『ちびゴリラのちびちび』の読み聞かせを始めると、会場全体がやさしい雰囲気で包まれていきました。次々と絵本を紹介しながら、読み聞かせをすることが、子どもにとっても大人にとっても、とても大切で楽しい時間森 ゆり子であることをお話しされました。読み聞かせが終わるたびに受講生の皆さんがほっと息を吐き出され、絵本に集中していることが伝わってきました。

  『子どもに愛を伝える5つの方法』(田上時子+エリザベス・クレアリー/著)、『抱きしめてあげて』(渡辺久子/著)を参考図書として紹介され、今、親の愛情が子どもに届いていないと思われるような状況であるからこそ「愛してるよ。大好きだよ」という気持ちを、子どもにわかるように伝えることが必要になっていること。また、心を病んでしまった子どもを治すには、抱きしめてあげること、子どもを丸ごと受け入れることが大切であるとお話されました。一緒に絵本を読むことが、親の気づきにもつながること、面と向かって言えないことでも絵本を読むことで伝えることができることなど、子どもに関わるすべての大人にとっても大切なことであると再確認することができました。

 ご自分のお子さんに読み聞かせをされていた松居直氏の「読むのも勝手、聞くのも勝手」という言葉と、松居友氏の「絵本を子どもに読むということは人生の航海術を教え、人生の灯台に灯をともすことにつながる」という言葉を紹介され、これはダメといういって切り捨ててしまうのではなく、様々なジャンルの絵本を読み聞かせることが大事であるということをお話しされました。 最後に読んでいただいた『さっちゃんのまほうのて』は目をつぶって聞いていると、絵本の言葉が心の中に静かに深くしみわたっていきました。絵本の力と読み手の思いが力強く感じられたひと時でした。

片岡 直樹氏 午後は、片岡直樹氏(川崎医科大学名誉教授・Kids21子育て研究所所長)の「テレビ・ビデオ・スマホが子どもの心を破壊している」と題した講演です。

 片岡先生が関わられた子どもの症例を、ビデオで紹介されながらのお話でした。別府真琴氏の著書『自閉症スペクトラムの謎を解く』を紹介くださり、話し言葉は親子間の応答的環境のもとで自然にでてくるもので、知識として大人から教えられる読み書き言葉とは違うと説明されました。

  1歳6か月健診では、言葉の遅れをともなう「コミュニケーション不良」の要観察児が10人に1人みられるそうです。大人しくしているからと赤ちゃんのうちからスマホを見せたり、テレビをつけっぱなしにしておくことで、ますます子どもをとりまく環境が悪化しています。話し言葉を獲得する幼児期には、テレビ・ビデオのない静かな環境で親の声が聞こえることが大切であること。また、テレビを見たりゲームをしたりする時には、心の理論を司る脳の前頭前野は働かないが、絵本を読んでもらう時には、脳全体が活動しているということを教えていただきました。小児科医である先生からも、子どもの育ちには昔ながらの五感を使った遊びや絵本の読み聞かせが良いことをお聞きして、受講生の皆さんも納得されたことと思います。

 大久保広子さん(東京5期)から「絵本講師の会」の紹介があり、池田加津子理事から最終レポートにつ大久保 広子いての説明がありました。

 最後はお待ちかねのグループワークです。講座内容や最終レポートについて話し合ったり、疑問に思ったことをサポートに入っているスタッフに尋ねたりして、終了時刻まで楽しそうな話声が会場いっぱいに響いていました。

 次回はいよいよ閉講式です。インフルエンザが猛威をふるっています。元気な笑顔でお目にかかれるよう皆さん気をつけてお過ごしください。
(いちかわ・ひろみ)

 

市川 洋美

(いちかわ・ひろみ) 

会場風景
(東京会場第5編 絵本講師・養成講座風景)


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