絵本講師養成講座

報告者
報告 大西真葵
芦屋13期
大西 真葵
第1編 ~ 絵本について ~開講式

2017年04月15日(土)CIVI研修センター新大阪東

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

新しい学びのはじまりの日

司会 中村利奈 第14期「絵本講師・養成講座」(芦屋会場)が4月15日(土)、春時雨の中、CIVI研修センター新大阪東にて開講されました。受講生のみなさんが少し緊張を感じる面持ちで受付を済まされ 着席されると、中村利奈さん(芦屋2期)の落ち着いたアナウンスで開講式が始まりました。

 はじめに、森ゆり子理事長から緊張をほぐしてくださるようなあいさつ 森ゆり子優しい口調でご挨拶がありました。1期から13期まで、1527名の絵本講師が全国各地で活躍されていること。「街を歩けば絵本講師にあたる」くらいに絵本講師の輪が広がり、絵本の素敵さ・絵本で子育てする楽しさを伝え広めてほしいこと。今日の類を見ないような劣悪な育児環境の中で、絵本講師の果たす役割はとても大きいこと。今日学んだことをすぐに身近な人に伝えてほしいという熱いメッセージは、受講生のみなさんの心にもしっかり響いたと思います。

祝辞 熊懐賀代  続いて、ご来賓の方々からご祝辞をいただきました。熊懐賀代さん(芦屋4期)は、10年前ご自身が「絵本講師・養成講座」の受講生だったころの経験を話してくださいました。また、昨年8月にお亡くなりになったむのたけじ先生の「人間は地球に居候している身。人間の身勝手で地球を壊してはならない」「この地球上には73億人。その中であなたという人はあなただけ。自分に責任と誇りを持って自分を育てなさい」というお言葉をご紹介くださいました。

 大長咲子さん(副理事長・芦屋1期)は『はらぺこあおむし』に祝辞 大長咲子 なぞらえて、14期のみなさんもはらぺこあおむしになって、貪欲に講師の先生方のお話やグループワーク、関連図書などいろんなものを食べ、いろんなものに反映していってください。そうすれば1年後、絵本講師として大きな美しい羽を開かれると思いますとの励ましのお言葉をくださいました。

祝辞 岩崎書店 松岡正道氏 最後に、岩崎書店の松岡正道氏が、お二人の娘さん方に『三びきのやぎのがらがらどん』をもう勘弁してくださいというほど読まされたという温かい思い出話をご紹介くださり、今子どもたちを取り巻く環境はますます大変なものになっている。子どもとの時間を大切に、平和な世の中つくりのお手伝いとして活躍してくださいと激励くださいました。 また『はじまりの日 FOREVER YOUNG』(ボブ・ディラン:作、ポール・ロジャース:絵、アーサー・ビナード:訳 / 岩崎書店)の一節をご紹介くださり、今日も次回以降の講座も“はじまりの日”だと締めくくられました。

 自己紹介を兼ねたグループワークを挟んで、午後はアーサー・ビナード氏の「ぼくが原爆ドームになったわけ」と題しての記念講演です。

  大学の卒業論文のために造語に関する資料を探されていたときに、偶然日本語について書かれたものに出講演 アーサー・ビナード氏 あわれたのが、日本語に興味をもたれたきっかけだったそうです。その後来日され、日本語の中でのたうちまわることになられたそうですが、あるとき「詩を書きたい」と思われ手にされた名詩集。そこで出会われた宮沢賢治さんの『雨ニモマケズ』が、米国の郵便配達員の心得。さらには古代ギリシャの歴史の父、ヘロドトスと繋がることを発見されたそうです。

 知らないことや未発見のことが、自分の体験の中にあるものと繋がる瞬間に新しい発見になること。先人たちの知恵や物語を借りて発展させていくことは、翻訳にもあてはまること。世界を見るときには諸に世界と触れている訳ではなく、世界と自分との間に言語があることなどを、具体的な作品を挙げながらお話しくださいました。

 また、宮沢賢治さんの視点と原爆ドームが、あるとき繋がったことから生まれたご自身の作品、『ドームがたり』(アーサー・ビナード:作、スズキコージ:画 / 玉川大学出版部)を読み聞かせてくださいました。作品に込められたビナード氏の想いを直接伺う貴重な機会に恵まれ、会場は大きな拍手でいっぱいになりました。 グループワーク

 その後のグループワークでは、最初に大長さんから講座の学び方についての説明がありました。それに続くグループワークでは、さっそくリポートについての質問や、アーサー・ビナード氏の講演やご著書についての意見交換、おすすめ絵本の紹介など、どのグループも和気藹々(あいあい)と和やかな雰囲気で交流が進んでいました。開講式が終わるころには当初の緊張もほぐれたようで、談笑されながら会場を後にされる受講生の方々の姿が見られ、充実した時間になったことが伺えました。

  新しい学びのはじまりの日。これからの1年間、初心を忘れずに謙虚な気持ちで受講生のみなさんとともに学んでいきたいと思います。


(おおにし・まき)


(講座風景)

大阪 開講風景

第14期「絵本講師・養成講座」
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