絵本講師養成講座

報告者
中村利奈
芦屋2期
中村 利奈

第3編 ~ 絵本講座について ~

2016年10月22日(土)CIVI研修センター新大阪
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

平和への願い司会 加藤美帆

 第13期「絵本講師・養成講座」芦屋会場第4編が秋の深まりを感じる10月22日、新大阪CIVI研修センターにて開催されました。第3編までの会場だった芦屋「山村サロン」の閉館にあたり今編からの新会場です。装いも新たに再スタートとなりました。


 午前中はアーサー・ビナード氏の講演です。詩集、エッセイ集、絵本、翻訳絵本など様々な作品を生み出しておられ、たくさんの受賞もされているアーサー氏の講演は、ボブ・ディラン氏のノーベル文学賞受賞の話題を切り口に、笑いの渦を巻き起こしながら始まりました。大学の卒論準備中に偶然日本語に出会い、造語に興味を深めていたアーサー氏は日本語の不思議さに引き込まれたそうです。

講演・アーサー・ビナード氏 文字が3種類あること、同じ音をわざわざ2種類で表記することなどの日本語の特徴は、英語の世界観を超えた枠の外にあるとおっしゃいます。英語と日本語の違いを大変興味深く面白く紹介してくださり、特に日本語の「文字から情報を無意識にくみ取っていて出す声が変わる」という説明には、その視点に深く感銘を受けました。

 当たり前に使っている日本語の利点と美点を知り、感心し続ける時間でした。「棚ぼた」「十把ひとからげ」「とどのつまり」などなど、様々な日本語を駆使されるアーサー氏は、最後にとても大切なことも教えてくれました。それはまやかしの造語があるということ。広島文化賞も受賞されており、強烈に平和を求めるアーサー氏の講演は、私たちにたくさんの学びと、平和への改たな視点を与えてくださいました。


 午後は中川正文氏の講演のDVD受講です。中川氏は、子どもに絵本を届けることは人間が人間に大事なDVD講演・中川正文氏文化を、心を届けているとおっしゃいます。そこに真摯に向き合い、一冊の絵本を仲立ちにして親子が経験を同じくすること、共に成長を同じくすることこそが大切であるとお話しくださいました。子どもを「育てる」と思わず、子ども達と新しい感動をするチャンスを与えられたと捉えるのが正解であるともおっしゃいました。受講生たちは時に笑い、しかし紡ぎださ講義 藤井勇市れるお言葉に真剣に耳を傾けていました。

 最後に「すみれ島」の朗読をしてくださいました。中川氏はどのような講演でも必ず最後に「すみれ島」を読まれるそうです。3分足らずの朗読でありながら、その中身の深さ、重みに引き込まれ、涙している受講生もたくさんおられました。中川氏は「この時に感じた平和への思いと願いを、若い講演風景子ども達に、若いお母さん達に伝えていって欲しい」と講演を結ばれました。受講生たちは、学んだことを発信していく側になることを意識し始めたのではないでしょうか。

  この後のグループワークでも、伝える側としての視点に変わっていっている様子を感じました。子ども達を取り巻く現代の社会、家庭環境に、「絵本講師」としてどのように関わっていくのかを熱心に話し合われていました。それぞれに熱い思いを胸に秘めた1日だったようです。
(なかむら・りな)


会場風景

(会場風景)

第13期「絵本講師・養成講座」
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