絵本講師養成講座

報告者
市川 洋美 東京8期
東京8期
市川 洋美
第3編 〜 絵本講座について 〜
2016年09月24日(土)飯田橋レインボーホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

「絵本講師・養成講座」東京会場第3編リポート 

 

司会・大久保広子 第13期「絵本講師・養成講座」東京会場第3編が2016年9月24日(土)、降ったりやんだりはっきりしないお天気のなか飯田橋レインボーホールで開催されました。

 初めに、司会の大久保広子さん(東京5期)の呼びかけで、8月21日に亡くなられた、むのたけじ氏のご冥福をお祈りしました。東京会場の受講生は、むの氏が体調を崩され入院されていたため、DVDでの聴講でしたが、病床から「元気になったら皆さんに会いに行きます」とのメッセージがありましたので、お目にかかれる事を楽しみにしておりました。小柄なお身体のどこから出るのかと思うほどの大きな声で、時におちゃめに、時に厳しく、私たちに語りかけてくださった姿を思い出します。世の中がますます混沌として来ている今こそ、私たちひとりひとりが、どう生きるべきかを考えていかなくてはならないと、あらためて感じました。

 午前は飫肥糺氏の「絵本で考える生き方の知恵」と題した講演です。最近思うこととして、行政のトップにある講演  飫肥糺氏人は、皆を幸せにしてくれなければ困る。憲法には幸福権が認められているのに、貧困という問題があるし、核の問題は未だに解決されておらず、また「平和」という言葉が頻繁に発言されることで、平和=戦力というような下卑た感じが見えてきている。というようなお話がありました。

 続いてウンベルト・エーコの「平和をかんがえる絵本:三部作」シリーズの絵本を紹介してくださいました。科学技術の発達は私たちを幸せにしてくれるのだろうか? 本当の幸せとは何だろう?ということを考えさせてくれる絵本です。

次に紹介していただいたのは、世界の画家たちの生き方を描いた絵本です。こちらも「自由に生きる」という生き方がどうしてできるのだろう?ということを考えさせてくれる絵本です。

 このようなお話を踏まえたうえで、本を読む事はとても良いことです。本のなかで、自分と違う存在に気づく、自分と違う存在と語り合うことで、豊かになった心を育てていけば、それほどひどい社会にならないのではないだろうか、と私たち絵本講師の活動を考えていくうえでとても大切なお話になりました。

 午後はとよたかずひこ氏の「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる―自作を語る―」と題した講演でしたが、お昼休みの時から受講生の皆さんと談笑されているとよた氏の姿がありました。まずは紙芝居で『でんしゃがくるよ』を演じられたあと、ご自身の子育ての中のお話、ご近所の子どもたちと遊んだりしたお話も交えながら、次々と紙芝居を演じてくださり、「ももんちゃん」や「バルボンさん」の絵本もたくさん読んでくださいました。

 お子さんが幼稚園でもらってきた月刊誌で絵本に出会い、これなら自分でも描けると思ってしまって絵本を描くようになった。―というようなお話や、大人から見て物足りないと思える作品でも子どもの受け取り方は違うから、子どもの期待に応えてあげる、でもひねりすぎは失敗する。―といったようなお話もあり講演はとても楽しいものとなりました。

 絵本を描けるからといって紙芝居が作れるわけではない、紙芝居は難しい。作品を作ることは、外の世界のものを自分の中に取り込んで消化し、それを作品として昇華させる作業である。作品に作家の集中度が表現されていないとダメなんだ。–––といったような、作品を作るうえで大切に思われていることをお話していただいて、実際に作家のかたのお話を聞いてみると、その作品(絵本)に対する見方も、私のなかでまったく変わってくることを実感することができました。

 藤井勇市専任講師から、今日の講演をされたおふたりのお人柄についての簡単な紹介があり、受講生から講演 とよたかずひこ氏出された質問に対する回答がありました。

 その後はグループワークです。それぞれのグループごとにお話がはずんでいきました。

 

 講座の最後までいらしたとよた氏も、サインされたご自身の絵本を受講生に手渡しながら見送ってくださって、皆さん名残惜しい様子でお帰りになっていきました。

 

 11月の講座で、また受講生の皆さんにお会いすることをとても楽しみにしています。
(いちかわ・ひろみ)



会場風景
第13期 第3回 東京会場風景

第13期「絵本講師・養成講座」
★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編