2011年は、東日本大震災や福島の原発事故と、東北の皆さんをはじめ日本国民にとっては、苦難に満ちた1年でした。第8期受講生の皆様におかれましては、養成講座受講やレポートを通じて、現在の日本が直面している様々な問題や課題に目を向け、様々な思いを抱えて新年を迎えられたのではないでしょうか。
「絵本講師・養成講座」東京会場第5編は 2012年1月28日(土)、節分前の厳しい寒さでしたが快晴に恵まれる中、無事開催されました。
本編では、森ゆり子理事長の絵本講座が行われました。演題は「絵本を読んであげましょう〜ゆたかなこころを育む絵本の世界〜」です。
私は森理事長の講座をお聞きするのは今回が三回目です。紹介される絵本や参考図書に大きな変化はありませんが、お話の内容はいつも微妙な変化があり、受講者を飽きさせない講座だなと実感します。
まずは、『おこだでませんように』の読み聞かせから始まりました。学校の先生や母親に怒られてばかりいる男の子のお話です。子どもの立場に立って気持ちを考えてあげたり、同調したりする。日々の雑務に忙殺されているとつい忘れてしまうことですが、この絵本を読んでもらい「はっ」と気付かされました。人に指摘されると素直になれないことでも、絵本を読んだり読んでもらったりすることで、自分自身の気持ちに響いて自発的な思いが湧き、素直になれるのです。
「絵本は本当に不思議なちからがありますね」と理事長が仰っていました。
次は、理事長が大好きな絵本『ちびゴリラのちびちび』の読み聞かせです。全部読んでも概ね4分のこの絵本、短い物語のなかに「だいすきだよ」という言葉がいっぱい盛り込まれています。まるで自分に「大好き」と語りかけてくれているかのようで、聞き手は温かい気持ちになれます。親子の「言葉のスキンシップ」に最高だなと、読んでもらう度に実感する絵本です。また、子どもがどのように絵本を読むかというお話や、絵本を読む時の注意事項(教材として扱わない)なども紹介されました。
読み聞かせの他にも、『いないいないばあ』や『いいこってどんなこ?』『ももたろう』など様ざまな絵本を紹介しながら「良質な絵本の選び方」や「心と体の関係」のお話がありました。絵本は、学習のための教材にすることが目的ではなく、絵本を読むことにより、親子でともに行う体験をもつこと、心の感情体験を培うための本なのだなと実感しました。現代の子育て環境においても、絵本が大切なツールであることが講座を通して良く分かりました。私は第7期の5編で初めて理事長の絵本講座を聴きました。その時の衝撃は強く、まるで体と心をずっと揺さぶられているかのようでした。今回はまた違った視点で拝聴できたことを嬉しく思います。
午後には、グループワークがありました。この5編では、養成講座中では一番グループワークの時間がたっぷり用意されているので、一つの話題についてじっくりと話合ったり、好きな絵本を紹介し合ったりと様々な白熱した議論が展開されていました。また、最終レポートの組み立て方や、修了後の活動などの質問も活発にあり、修了に向かって絵本講師の光が差し込んだ様子をひしひしと感じました。
次回はいよいよ修了式。絵本講師の道を踏み出す始めの一歩ですね。昨年の東京第7期は、東日本大震災の影響で修了式が中止になりました。今年の特別聴講生には東京第7期の方々が多くいます。そんな私たちは、去年の自分たちと姿を合わせて皆さんの門出をお祝いしたいと思っています。(かわぐち・ゆみ)
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