,,
バナー
報告者
芦屋6期生
野口 理英
開講式   〜 絵本について 〜
2010年5月22日(土) 飯田橋レインボービル
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 街では薔薇が鮮やかな花をつけ、新緑とつつじのコントラストが見事な季節となりました。 5 月 22 日、飯田橋レインボービルにおいて、第 7 期「絵本講師・養成講座(東京会場)」が開講となりました。

 今年は 41 名の受講生と 2 名の特別聴講生(第 6 期受講生)が集い、期待と緊張に胸をふくらませ、張り詰めた空気のなか開講式が始まりました。まずは、主催者を代表してNPO法人「絵本で子育てセンター」森ゆり子理事長よりご挨拶。森理事長のいつもながらの穏やかな口調での「この講座を受講し学びを重ねた人はこんなにも若々しく美しくなります!」とユーモアを交えた特別聴講生の紹介や本講座の趣旨の説明、そして「私の夢は街を歩けば絵本講師にあたることです。」との理事長の優しい笑顔に緊張の面持ちだった受講生の表情もふっと和らいだようでした。

 続いて来賓祝辞へと移ります。はばたきの会東京支部支部長・大郷陽子様より、「絵本は子どもの心をくすぐります。たましいを揺さぶります。電子絵本では決して叶えることはできない 1 ページ 1 ページをめくるページの擦れる音、温もり、本当の心地よさを味わってください」と心に染み入るお言葉をいただきました。

「絵本で子育て」センター関東地区理事の山中光江様からは、「始めはドキドキ、緊張もするでしょうが、安心して楽しんでください。全国約800人の絵本講師をはじめ、スタッフがついています。絵本の力、可能性を存分に学んでください」と、力強い励ましのお言葉をいただきました。

 鈴木出版編集長・波賀稔様からは、実はご自身も本講座の東京第2期受講生であったというエピソードから始まり、「絵本は作って終わりではなく子どもに伝えて初めて役割を果たせるもの、そして絵本を買う人は読者ではなく、読者である子どもに絵本が伝わるには大人が関わらなければならない、選び抜く眼を養うのが絵本講座」と、編集者としての視点を交えたお言葉をいただき、これからの学びへの期待と絵本講師としての役割の大切さを痛感いたしました。

 開講式の後は、受講生7〜8名に 1 名ずつ特別聴講生または今年は第 6 期絵本講座特別聴講生がスタッフとして加わり、グループに分かれてのオリエンテーションです。これから 1 年間グループワークで作業を共にするメンバーの顔合わせ。リーダー、サブリーダーを決め、自己紹介でそれぞれ年齢や職業、生活環境も違う受講生が“絵本”という共通の思いを語るうちに、「そうそう!」「そうなのよねぇ!」と、今日が初対面とは思えないほど話が弾み、それは昼食後の休憩時間でも続いていたようでした。私、聴講生もオブザーバーとして 1 年間ともに学んでいきます。

 午後からは、作家であり大阪国際児童文学館名誉館長の中川正文先生の記念講演「絵本・わたしの旅立ち」です。始めに今年 89 歳になられる中川先生がユーモアたっぷりにご自身で明かされたご病歴の数々。会場が一瞬驚きの空気に包まれましたが、それもほんの一時。先生の力強いお声でのお話に受講生全員が心耳を傾け、一言半句聞き逃すまいとした真剣な表情が感じ取れました。良い絵本の3つの条件を挙げられたうえで、“一冊の絵本を仲立ちとして親子が経験を同じくする、そして絵本を「与える」でも読み「聞かせる」でもなく、子どもと同じ目線「平座」で親子がともに成長していくものだ”との絵本に対する中川先生の基本的なお考えを示されました。また、非現実的なテレビやDVDなどの映像が溢れる現代の、“人生の大事なことに気が付かない”子どもたちを取り巻く環境についても触れられ、繰り返し、繰り返し成長の過程とともに何度でも戻って味わえる絵本と、一方的なメディア映像との違いを明確にされました。

 ご講演の最後に中川先生に読んでいただいた『すみれ島』(文・今西祐行 絵・松永禎郎 偕成社)。子どもたちが、戻らぬ飛行につく青年たちに無心で送り続けるすみれの花。今の日本では決して出撃命令など出ない「普通の生活」ができることの幸せ、命の尊さ、感謝の気持ちが溢れます。会場では目頭を押さえ、鳴咽する姿があちらこちらに見られました。

 記念講演の後は、藤井専任講師による講座の目的、学び方についてのオリエンテーション。“学べば学ぶほど新たな疑問が湧き出でる”という本講座。これからの 1 年間の学びにさっそく新たな疑問を抱きながらも期待を膨らませたのではないでしょうか。そして学ぶとは受身ではなく“(受講会場の)ドアを入ってきた時から”とする受講生としての振る舞い、心構え、学びの姿勢が必要とのお言葉に会場の空気が緊張感に包まれました。

 本日最後のグループワーク。中川先生のご講演についての感想や、本講座・リポートについての疑問などが活発に飛び交い、それは今日が初対面とは思えないほど。この 1 年間できっとかけがえの無い仲間となることでしょう。まだまだ話し足りないという雰囲気の中、第 1 回絵本講座は終了の時間を迎えました。受講生の方々は、午前中とは全く別の、期待に満ちた明るい表情に変わっています。まさに今の季節の、元気がみなぎるみずみずしい新緑のようです。

皆さん次回の7月の再会を楽しみに帰途につきました。(のぐち・りえ)

★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

第3期リポート はこちらから ★ 第4期リポート はこちらから ★ 第5期リポート はこちらから
第6期リポート はこちらから ★ 第7期リポート ★ 第8期リポート はこちらから
 ★ 第9期リポート はこちらから ★ 第10期リポート はこちらから

絵本で子育てセンター