第5期「絵本講師・養成講座」(東京会場)第3編が9月13日(土)、東京飯田橋レインボービルにて開催されました。三連休の初日で残暑も残る中、回を重ねて受講生たちも慣れてきたようで知人も増え、また、より親しくなり、朝から穏やかな会話が聞こえていた反面、受講への意気込みの眼は力強さや輝きが増していたように思います。 午前の部では、浜島 代志子氏(作家・劇団天童主宰)の「読み語りの楽しさ (実演)」でした。昨年は、事故に遭われたばかりなのに、私たちには十分過ぎるパワーを見せていただいたことを思い出しながら、元気になられた姿を拝見し喜ばしく思うとともに、更に迫力ある公演に、自分自身の力の源をいただきながら聞くことができました。
氏は受講生名簿を見ながら、「一期一会の縁(えにし)」、様々な職業の方がいて、仲間がたくさんいることが嬉しい。受講生たちは天使です」と話しながら、受講生の話も聞こうとする浜島先生。突然のことで驚かれている方もいましたが、ひとつ、ひとつ話が繋がってくると、浜島先生の読み聞かせの形である、対話式 (コミュニケーション)なのだと思いました。
絵本の実演では、対話式でコミュニケーション能力を培う参加型が浜島先生の読み聞かせで、受講生たちも子どもたちのように引き込まれていたように思います。途中、解説や子どもたちの実際の言葉、失敗談などもとても参考になるお話でした。「真・善・美の世界を伝えたい」「よい絵本でも売れないと絶版になってしまう」と伝えながら『タニファ』、『はらっぱにライオンがいるよ』などの読み聞かせもとても心に響くものを感じました。
実践は子どもたちへの読み聞かせだが、それだけではいけない。理論を、お母さん (保護者)を啓蒙する。子どもたちの心を救うには、家庭を救うことになります、とはっきりと言い切っていました。また、読み聞かせは、自分自身も育てる尊い活動なのだともお話していました。
最後に一冊の絵本を選ぶには百冊の絵本を読まなくてはいけない。選んだその絵本を自分で買って家に置くことが大切です。読み方は私流でかまわない、それぞれでよい、「愛を与える」読み方であれば、上手下手でないと話してくださり、安心した受講生も多かったことと思います。
午後の部は、片岡 直樹氏 (川崎医科大学名誉教授・Kids21子育て研究所所長)の「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」を題材としてのお話しでした。「自分の子ども時代は貧しいだけに豊かな生活を送っていた」と、自身のことを語りながら、@今は子どもの世界が混乱している。A早期教育は本当に育たなくてはいけない魂が育たない。B理解する、考える力が大切です。また、「白紙で生まれてくる子どもたちには、完成した大人が側で育てる(子どものサインに応える)必要がある」今の子どもがどのくらいおかしくなっているかを、スライドやテキストを用意して、テレビをつけっぱなしで変わった子ども、テレビを消して変わった子どもたちの様子を映像で見ることで、「テレビ・ビデオの危険性」を実感するように学ぶことができました。専門的な脳の図解もあり、難しいところも分りやすく解説していただきました。
大人はテレビをつけていても行動を妨げられない (選択して頭に入れる能力がある)。子どもとは受け取り方が違う。それと同時に親とのコミュニケーションが阻害されている。その事で赤ちゃん(3〜5ヶ月)が育まれるべき基本的な能力(五感の完成)自分で自分をコントロールする力が育っていない。すべての子どもではないが犯罪へ繋がっている事実を、大人が真摯に受け止めなくてはならないのだとお話してくださいました。
テレビがいけないとずいぶん前から言われていたことですが、とても具体的に、現実に沿って聞くことができて、人に伝えるのにも心強い講演を聴くことができました。
最後のグループワークでは講演の感想から話が始まりましたが、実際のそれぞれの立場からの意見や疑問、悩みなど時間が足らないくらい活発な発言で盛り上がっていました。また、『マウイ、たいようをつかまえる』など、一見そのパワーに手にするのを止めてしまいそうな絵本でも、本日、読み聞かせてもらい、良さが分った今、私たちが伝えるべきなのではないか」と、力強い意見も聞くことができました。
私自身も、5期の受講生に学びながら、昨年に引き続き学べることに感謝し、より多くの保護者の方へ絵本の素晴らしさを伝えていけるように、また、多くの子どもたちに絵本の読み聞かせができるように、これからの講演もしっかり学んでいきたいと思いました。 (なかやま・ちえこ) |