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報告者

福岡4期生

鹿野 恵子
〜 絵本講座について 〜
第3編
2008年10月5日(土) 福岡朝日ビル
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 第5期「絵本講師・養成講座」福岡会場の第3編が9月27日(土)、福岡朝日ビルで開催されました。残暑が続く日々でしたが、この日は朝から冷え込み「今朝は冷えましたね」と挨拶をしながら受講生の皆さんをお迎えしました。しかし、講座にも慣れてきた皆さんからは学びに対する熱い気持ちが伝わってきました。

 午前は、川崎医科大学名誉教授、 Kids21 子育て研究所所長の片岡直樹氏の「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」の講演でした。

 片岡先生の話は「突飛な怪談のような話ですが真実は一つです。赤ちゃんから頂いた体験談で、非常に怖い、誰も思っていないことです」と始まり、受講生の皆さんからは緊張も感じられましたが、子どもたちのテレビ漬けの生活の様子、テレビ・ビデオなしの生活に変えてからの子どもの様子の映像に驚き、先生の話にうなずきながら真剣に聴き入られていました。

 赤ちゃんの頃から取り入れられている英才教育、デジタル教育、メリーゴーランドなどの音楽の中での生活に、赤ちゃんは反応を示しいろいろな事を覚えるが、それは赤ちゃんに吸収できる能力があるだけで赤ちゃんのためにはならず、10年後には人の心が読めない、コミュニケーションのできない子どもになってしまうという現実話。言葉というのは、2歳までにテレビ・ビデオなしの生活を送ることで回復できるが、人の心を取り戻すには時間がかかるという話に怖くなりました。「母がいて、僕がいる」 2 項関係を結ぶことで、「母がいて、僕がいて、物がある」 3 項関係を結べるようになり、話し言葉や指さしが出てくること。生まれてきて、子どもがどういう育ちをするのか。模倣とスキンシップが赤ちゃんを育てること。多くの大人がメディア漬けの生活をしている時代なので、赤ちゃんが心を通わせる 3 つの原則@オウム返しA静かさB雑音を消す を伝えていきたいと感じた講座でした。

 午後からは、作家・劇団天童主宰 浜島代志子氏の「読み語りの楽しさ(実演)」でした。
  「早く着いてしまったから、皆さんで歌でもうたって楽しみましょう」との提案で、天野美佐子さん(芦屋2期)の指揮のもと「赤とんぼ」を熱唱し、特別聴講生である私たちと「とんぼのめがね」を合唱し、受講生である川口正人さんの指揮のもと「キャベツの中から」の手遊びを楽しみ、心も体もほぐれ講演前に楽しい時間を過ごすことができました。

 講演では、マンガ等が生き残っていき、良い絵本が絶滅の危機にあることを強く伝えられました。愛をくれる母、行動する力をくれる父、ありのままの自分を受け入れてくれる祖父と 3 世代の話であるニュージーランドの民話『タニファ』(ロビン・カフキワ / 作絵、浜島代志子 / 訳)もその危機であることを伝えられました。先生の読み語りに皆引き込まれ、民話が伝えているもの、縦のつながりの大切さが伝わりました。

 絵本はただ読めばいいのではなく、子どもの心にどう響いたのか、何を響かせようとしたのか、どう教育・保育に役立てるのか考えることが大切であること。子どもが読み聞かせ中に発した言葉は、子どもがどうしてそう言ったのか考え、オウム返しをし、必ず文章語に直して伝えることで語彙の獲得、創造力、想像力がつくという対話式の大切さを話されました。親子での対話式の大切さを伝えるためにも、心情に関わる言葉が乏しい親御さんに、まずは、優しさと愛を持って読み聞かせをすること。真・善・美がわかる眼力をつけてあげ、純粋さで一緒に楽しむこと。たくさんの絵本を楽しむこと。そして、良い絵本を買うこと。とにかく家に絵本を置くこと。愛の情を持って伝えること。絵本講座を開く上で、親御さんに伝えるべきことをたくさん頂きました。
  何はともあれ、良い絵本を絶滅の危機にさらしたままにはできないと思いました。

 最後のグループワークでは、淡々と読む読み聞かせと浜島先生のような対話式の読み聞かせもあるんだなと感じたという話から、自分の子どもに対する読み聞かせ、仕事場での読み聞かせなど、意見交換しながら、絵本の読み聞かせの仕方は、時と場合、子どもの顔色(調子)に合わせて、淡々と読んだり、対話式にしてみたりしても良いねと話がまとまりました。また、テレビを見る時間で工夫していること、保育園での取り組みなど、皆さんが今、かかえている問題や絵本で分かる子どもの心情など、様々な話ができ、有意義な時間を過ごすことができました。

 また、受講生の方より「こうした方が良い!ではなく、どうしたらいいのか考えるために、このグループワークがあるので良いですね。受講して良かったです」との言葉を頂き、私まで幸せな気持ちになりました。 受講生の皆さんの話に刺激を頂きながら、勉強をさせて頂きたいと思います。

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