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2006年10月21日(土)

芦屋市ラポルテホール
〜 絵本講座の組み立て方 〜 第4編

報告者・浦壁 有紀

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社  後援:朝日新聞社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・童心社・ほるぷ出版・理論社

 戸外の空気も心地良く、人々の装いも秋らしくなってきた10月21日(土)、第3期「絵本講師・養成講座」の第4編が行われました。受講生の皆さんも、もうずいぶん慣れてき、講座前から周りの方と歓談する様子もうかがえました。

講座の写真  さて、午前の講師は、画家で絵本作家の梅田俊作氏。講演の前に奥様の佳子氏による、新作ポップアップ絵本の読み聞かせがありました。「ご夫婦で絵本をお作りになるなんて素敵!」と以前からひそかに思っていた私は、お二人同時にお会いできて感激してしまいました。

  俊作氏の講演は、「バーチャルの世界にひたる今の子は生き急がされているのではないか」という話から始まりました。「『今やりたいことは、良い学校、良い社会に入ってはらやりなさい』で本当にいいのか」という言葉は印象的でした。

  そして登場したのが、氏の大切な宝物の数々。驚いたのは、娘さんが5歳の頃作成したという数冊の「絵本」です。幼児の書いたものとはいえ、絵と言葉か互いに役割を果たす立派な絵本になっていました。 裏が白紙である古紙を束ねたものに描かれたそれには、その時の彼女の気持ちがあふれていました。彼女のその感性と表現力、そしてそれを認めて大切に受け止めた、親としての氏の心に関心させられました。子どもは物を作ることによって、自分と向かい合っているとのこと。講演の後、「私、ついこの間、自分の子どもの拾ってきた物や作った物、捨ててしまった!」と後悔した母親は会場に何人いたでしょう。

  ある漁村での話も忘れられません。人間不信により、食事もせず薬も飲まず、医者からも見離された子が、その漁村でわずか半年で完治した話。作られた理想的な人間像ではなく、生身の人間の姿や使い古された道具の数々に触れて、心が開放されたこと。一見全く意味のない時間や物の大切さや意義を感じました。

講座の写真  午後の講演は、当初の予定の岸本裕史先生がご病気のため、急遽変更となりました。岸本氏の講演を楽しみにしていた受講生も多かったようで、中には氏の著書を持参していた方もいました。残念でしたが、お早いご回復をお祈りしています。

  今回事務局の要請で駆けつけてくださったのは、開講式でご祝辞をいただいた、こぐま社専務取締役の吉井康文氏。絵本の歴史を軸に、読み継がれている世界の絵本の普遍性についての講演でした。氏のお話を聴きながら、“こぐまちゃんのお父さんみたい”と思ったのは私だけでしょうか(大変申し訳ありません)。そんな温かさを感じる方で、こぐま社の姿勢まで感じるような気がしました。

  海外では1930年代から、日本では1960年代から、子どものことを考えて絵本が作られてきたとのこと。私たちの世代は、ちょうどその絵本に囲まれて育ってきたことになります。絵本を評価するのは子どもである、というお話がありましたが、私も評価してきた一人だったのでしょうか。
  子どもは、文字からではなく、絵本を丸ごと受け止めて感じとっていること。子どもには、この時期にしか育たないものがあること。それらを心に留め、これからも絵本に接していかなくては、と改めて思いました。

 最後はグループワークです。受講生は、すでに最終リポートがかなり気になっている様子。「やっておいた方が良いことは?」と質問を受けましたが、「たくさん本を読みましょう」としか答えられませんでした。私もまだまだ勉強中です。お互いがんばりましょう。

 (浦壁 有紀/芦屋・第2期生)

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