バナー
バナー
2006年7月15日(土)

福岡朝日ビル
〜 「読み聞かせ」について 〜 第2編

報告者・松本 直美


 待望の第2編ということなのでしょう。2006年7月15日の福岡会場には開場の10時前から来られる受講生もあり、早い時間に前の方の席を確保される方も少なくなく、前回のグループワーク等で既に親しくなったり、面識のある方もふえて、会場のあちこちで会話もはずんでいるようです。午前の講演前から、すでに第2編は始まっているのですね。

講座の写真  そんな熱気の中(室温は低過ぎる位でしたが)、午前の講演が始まりました。
 講師の批評家・エッセイストである飫肥糺氏を、「絵本フォーラム」(ほるぷフォーラム社発行)1面のコラム『“たましい”をゆさぶる子どもの本の世界』ですでにご存知の方にとっては、「どんな人なんだろう」ということも含めて楽しみだったのではないかと思います。

 大人も壊れてきているこの時代でも幼い子どもは全身でコミュニケーションの機会を創ろうとしているが、受け手である大人が見逃すことが増えると、母性といわれる能力が育たない。そんな状況の中わたしたちは何をどうすればいいのか…声高に訴えるのとは対極の、静かに語りかけてくれるような飫肥氏の声で絵本の「読み聞かせ」を体験した私たちは、子どもたちに必要な大切なものが何かということを感じることができたのではないでしょうか。

 ある人は、初めて出会ったその絵本の内容に、また別の人は、読んでもらうことで何かを感じ、読み終えたあと飫肥氏の語る言葉に…など人それぞれさまざまに感じたり考えたりと、心をゆさぶられたのではないでしょうか。そしてそのことを話したり書いてまとめたりすることで、深めていくことができるのだと思います。…リポートまだすんでいない方、頑張りましょうね。

講座の写真  午後の講演は絵本作家とよたかずひこさんです。
 司会者泣かせのとよたさんは、先生と呼ばないでということを直前に言われるのです。なぜ先生と呼んでほしくないのか、その理由も講演の中で、幼稚園児のエピソードとして語られるのですが。受講生は、とよたかずひこさん本人による特製拡大絵本を読んでもらうという贅沢な時間を過ごしました。

 『でんしゃにのって』や『ももんちゃん』シリーズ、『バルボンさん』シリーズなどの作品ができるまでのエビソードは笑いにあふれました。子どもと大人の見方、楽しみ方が違うということや、作者の思いや意図とは違うところが読者にうけている事、絵本制作にまつわる話などはめったに聴けない話かもしれません。持参された原画を身を乗り出して見入る受講生もいました。

 講演を聴いて、とよたさんが年齢を感じさせない理由は、子どもとの関わりかなと思いました。幼稚園や小学校での子どもたちとのやりとりの楽しいエピソードをたくさん聞かせていただいたなかで、子どもの声を聴き取る力、感性をたくさんお持ちなのだということを感じました。

 大人として子どもを見下ろして接するのではなく、子ども目線を持っていらっしゃるから、たくさんの作品が多くの子どもたちに支持されているのかもしれない。そしてそうやって子どもに元気をもらうのではなく、子どもと一緒に元気になっているとよたさんだからいつまでもお若いのだろうと思います。

講座の写真  最後はグループワークです。この日は『いない いない ばあ』(松谷みよ子/文、瀬川康男/絵、童心社)を読む実習です。

 いろんな持ち方、読み方、声音、人それぞれに、金子みすゞではないけれど、みんな違ってみんないい。ただやはり学びたい人の集まりなので、「指導」が入らなくてもグループ内の相互体験で、こんな持ち方だと見にくいなとか、こんな読み方私も取り入れたいなとか、お互いにいい刺激を受けたのではないでしょうか。

 受講生それぞれのフィールドでもこんな機会があるといいですね。

(まつもと・なおみ/絵本講師)

★芦屋会場リポート第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★福岡会場リポート第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

ほるぷフォーラム ★ 絵本で子育てセンター