2021年度第18期絵本講師養成講座のカリキュラム

第18期「絵本講師・養成講座」東京会場 第3編
2021年9月25日(土)

①市川洋美
報告 市川洋美

 第18期「絵本講師・養成講座」東京会場第3編が2021年9月25日(土)、飯田橋レインボービルにおいて開催されました。

②田中潤
田中潤

 午前は飫肥糺先生の講演「絵本は、カタル どんな本ともちがう 子どもの本」です。初めにコロナ感染症やSDGsについて、先生が今思われていることについて述べられ、世界でおこっている気候温暖化のお話から、絵本『森のおはなし』(六耀社)の読み聞かせへと続きました。とてもシンプルなお話ですが、何事かを読者に語り伝えようとしているメッセージのある絵本です。何冊かの絵本の紹介とともに、演題にある「カタル」ということについて「ハナス」という言葉と対比しながらお話いただきました。

③飫肥糺氏
飫肥糺氏

 今はほとんど使われなくなった「カタル」という言葉は、郷土と密接に結びついていて、共同する・共同体・交わるという意味合いがあります。それに対し「ハナス」はラジオ放送が始まった時に標準語として使われ始めた言葉であり、交わるという意味はないというお話に、とても興味を覚えました。

 絵本は文字と絵で創作され、大人が読んでカタル本です。大人が子どもにたくさんの絵本を読みカタルことで、子どもは感受性、感覚をつかむことができます。幼児が、ふつふつとわきあがる想いをなんとか口にする瞬間、それが言葉の生まれる瞬間です。子どもの自由な発想を邪魔することのないように、私たち大人は気をつけないといけません。

 子どもの本には、「古くて年とったもの」「小さいもの 幼いもの」「大切なもの」という、なくてはならない大切な3つのものがあることを、長田弘氏の著書から引用され、講演を締めくくられました。

④吉井康文氏
吉井康文氏

 午後は吉井康文先生の講演「絵本の絵を読む魅力と大切さ」です。絵本は、文字が読めない、読めても理解が充分ではない子どもが、絵の力を借りて理解できるように作ったものが始まりであるとのことです。次々にたくさんの絵本を紹介されながら、絵の描かれ方を解説してくださいました。時には吉井先生独自のユーモラスな解説もあり、絵本の中にぐいぐい引き込まれていく楽しさがありました。

 絵本は「行きて帰りし物語」であり、よい絵本には「絵で物語を展開している」「ページをめくらせようとしている」「アイデンティティーが描かれている」といった要素がある。よい絵本はロングセラーであり、子どもの中の普遍性と絵本の中の普遍性は一致するものであるとのお話でした。今は刺激の強いものがあふれているが、日常を淡々と描いたような静かな絵本を子どもたちには届けてほしい。子どもは想像力・創造力。記憶力を持っているが、文字が読めるようになるとそういった力が消えてしまう。だからいくつになっても絵本を読んであげてほしい。子どもたちに絵本を読むことは地球を救うことにつながっているのです、とお話を締めくくられました。

⑤池田加津子
池田加津子

 その後「絵本講師・養成講座」の学び方について池田加津子理事(芦屋2期)のお話があり、グループワークになりました。終了時刻になっても活発な意見交換が続いているグループもありました。

(いちかわ・ひろみ)