

第18期「絵本講師・養成講座」大阪会場
第18期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編 2021年8月21日(土)
報告者 多本ゆき枝
第18期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2021年8月21日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。新型コロナウイルス感染予防対策をした会場に静かな熱気が溢れ、加藤美帆さん(芦屋3期)の司会で講座が始まりました。

午前の部は、飫肥糺先生の講演「絵本は、カタル どんな本ともちがう 子どもの本」です。国の代表者たちの話すことばが薄く軽くなり、心を潤す言葉に出会えなくなった今、私たちは子どもたちと一緒に素直で素朴なことばを使いたい、と述べられました。

また、「カタル」と「ハナス」の違いについて、「語る」とは「吾を言う」であり、自分の思いを相手の顔を見て伝え、共同し交わること。「話す」とは「舌で言う」であり、サラッと言うこと。文字習得が少なかった時代には地域の中で、方言で「語り合う」ことで意思を共有していたが、公共放送が始まった頃から標準語でサラッと言う「話す」が多く使われるようになった、と解説されました。
親や保育者が声に出して子どもに語るために絵本がある。絵本では文字ことばが語るし、絵ことばが語る。エレン・E・M・ロバーツ氏は「一枚の絵は千の言葉に値する」と言ったが、子どもは絵をじっと見て、見るたびに新しい発見をするから、同じ絵本を何度でも「読んで」と言って持ってくる。子どもの本には長田弘氏のいう「古くて年とったもの」「小さいもの幼いもの」「大切なもの」の三要素が入っている。年を取るにつれ見失う大切なものを再発見するために大人も子どもと一緒に絵本を読むべきだ、と締めくくられました。
午後の部は、吉井康文先生の講演「絵本の絵を読む魅力、大切さ」です。絵本とは、文字が読めない、または読んでも理解が充分でない子どもが、絵の助けを借りながら読んでもらって理解するものだ、とおっしゃられ、絵本を紹介しながら絵の描かれ方を解説くださいました。絵本は瀬田貞二氏の言う「行きて帰りし物語」であり、よい絵本の要素は「絵で物語を展開している」「ページをめくらせようとしている」「アイデンティティが描かれている」である。よい絵本はロングセラーで、子どもの中の普遍性と絵本の中の普遍性が一致するものである、とのことでした。

いまは刺激の多いものが溢れているが、日常を淡々と描くような静かな絵本を子どもは喜ぶので、大人が出会いを作ってほしい。絵を読み、耳から物語を聞いて、心を動かすことで心が成長し、考える力がつく。絵本を読んでもらった子どもが大人になれば世界を救うのだろう、と話されました。

そのあと、藤井勇市専任講師からは、本日が祥月命日の故むの たけじ先生(2016年8月21日没)の思い出と、国の政策・方針も賛否両論を聞いた上で自分の頭で考えて判断することが大切だとの話。

池田加津子理事(芦屋2期)からは、絵本講師とボランティアとの違い、サプリメントのデータについて、著作権についての説明があった後、5つに分かれてグループワーク。顔を見て語り合える喜びを感じながら活発な意見交換がなされ、あっという間に終刻となりました。
(たもと・ゆきえ)
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