

第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場 第6編 2021年02月20日(土)
報告者 多本 ゆき枝

第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場の閉講式が2021年2月20日(土)、CIVI研修センター新大阪東において開催されました。コロナ禍のため初めて会場に足を運ばれた受講生もおられ、静かな緊張の中、熊懐賀代さん(芦屋4期)の司会で修了式が始まりました。

初めに、森ゆり子理事長がグループごとに修了証書を授与され、「17期を終え絵本講師は全国で約1900人になりました。街を歩けば絵本講師に当たる日が来るのを願っています。危機的な状況の中で私たちの話を待っている方がたくさんおられます。一緒に活動していきましょう」と話されました。修了証書が授与されると、受講生の皆さんは温かい拍手で一年間の学びを称え合いました。

続いて、大西徳子さん(芦屋6期)が「失敗を恐れず講座をして小さな成功を積み重ねてください。応援しています」とエールを贈られました。

池田加津子理事(芦屋2期)からは「私たち絵本講師は、自分自身で見て感じたことを自分のことばで伝えていけたら素敵だと思います」とご祝辞をいただきました。

また、舛谷裕子理事(芦屋3期)から「絵本講師の会」(はばたきの会)について説明があり、「センター所属の絵本講師として一緒に学び活動していきましょう」と呼びかけられました。

修了式最後は、藤井勇市顧問の講演「子どもに絵本を届ける大人の心構え」でした。「日本社会はデストピア(暗黒社会)となってしまった、失ったものを取り戻すために、絵本の力を伝える終わりのない旅に出発していくのだ」と叱咤激励をいただきました。

午後は、梅田俊作先生の記念講演「絵本で生きる」です。池田加津子理事による『おかあさんもようちえん』(NPO法人「絵本で子育て」センター)の読み聞かせから始まりました。子どもは自ら伸びる力を持って生まれてくる。体ごとの魂に結び付いた体験は生き方になる。東日本大震災後10年間福島へ通い手作り絵本の活動をしているが、地獄を体ごとかいくぐってきた子どもたちは物事の本質を見る目を持っていて、中村哲さんや山中伸弥教授みたいな大人になりたいと言う、と話されました。

梅田先生は、お子さま方とよく読んだと『さるのひとりごと』(松谷みよ子/文、司 修/絵、童心社)も読んでくださいました。分かる分からないではなく、大事な何かがしみ込んでいき、ある時ストンと入っていくような絵本は体験として残る。ある年齢までは優しいお話が必要だけれど、人生の理不尽さを語る絵本も子どもたちには必要だ、と語られ、ご自身の作品『しらんぷり』(ポプラ社)の読者からの手紙を紹介してくださいました。正しい者が理不尽に扱われるとき、どこかに分かってくれる人がいることが支えになる。絵本は生きることだ、とおっしゃいました。

その後、お祝いメッセージの披露があり、懇親会に移りました。一年間ともに学んだ仲間との話は尽きることなく、あっという間に終了時刻となり、大長咲子副理事長(芦屋1期)から終わりの挨拶がありました。絵本講師としての学びの旅は続きます。
(たもと・ゆきえ)
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