第18期絵本講師養成講座
第18期絵本講師養成講座

第17期「絵本講師・養成講座」東京会場 第5編 2021年1月23日(土)

岡 美佐緒
岡 美佐緒

報告者:岡 美佐緒

 第17期「絵本講師・養成講座」東京会場第5編が2021年1月23日(土)、飯田橋レインボーホールに於いて開催されました。新型コロナウイルス感染予防対策をした会場に受講生12名の参加があり、大長咲子副理事長の司会で講座が始まりました。

アーサー・ビナード氏
アーサー・ビナード氏

 午前の部は「裸の王様もマスクをするのか」と題したアーサー・ビナード氏の講演です。アーサーさんは、「疑う」ということについて、故むのたけじ氏の本講座の講演録「絵本とジャーナリズム」(NPO法人「絵本で子育て」センター刊)の一部を引用して話されました。赤ちゃんや幼児は見知らぬ人が近づいてきた時に疑うことによってわが身を守る。外国の子どもに比べて日本の子どもは疑う能力が弱い、とむのさんはおっしゃっています。「疑う」能力を育てなければいけないと。今のコロナ禍においてマスクの着用を義務付けられている私たちにアーサーさんは問います。マスクを強要しているのは、なぜか? どんなに優れたマスクの繊維もウイルスは通過するので、科学的にマスクは100%無意味であると。マスクによる本当の被害は、「疑う」という〝人間の能力〟 を削ぐこと。パンデミックの狙いは、人と人とが繋がれなくことであり、世界の奴隷を作ること。携帯電話というツールによって私たちは飼いならされ、「マイナンバー」や「電子マネー」という首輪を付けられている。その首輪は幸福に繋がるのか? 「疑う」ことを失う=喜怒哀楽を失うことである。マスクそのものが詐欺なのだとおっしゃいました。「PCR検査」においても、然り。PCR検査は引っ掛け。ウイルスを検出するのではなく、基準値を変えることにより誰もが陽性にも陰性にもなる。捏造の検査であり、私たちはこのペテンによって振り分けられ基本的人権を奪われている、とのお話にはもっと自ら知る努力をしなくてはいけないと感じました。

 お話は演題のアンデルセンの「裸の王様」へ。よく知られたこの童話を「アンデルセンが用意したレンズ」とアーサーさんは言います。仕立屋を名乗る詐欺師たちの企みを家臣の誰が無能なのか知るために(エンペラー)は利用している。あるはずのない王様の服を自分がバカだと思われたくないがため(保身のため)に「ある」と噓をつく家臣たち。アーサーさんのお話をお聞きして、この国の政治家たちの現状と重なるものを感じました。目に見えないウイルスの存在に怯え、メディアが垂れ流す情報に振り回され右往左往する私たち。「疑う」能力を削がれてしまったのは子どもたちではなく、むしろ私たち大人のほうだったのではないのでしょうか。与えられる情報を素直に飲み込むのでなく、そこに隠された何かを自分自身で探っていかなければいけないと思いました。

 3月には、エリック・カールさんと作られた新しい絵本『ありえない』が刊行されるという嬉しいお知らせもありました。カールさんは徹底して子どもたちの(がわ)であり、アーサーさんも子どもたちの側に立ちたいとの言葉が心に残り、私自身も絵本講師としてはもちろん、ひとりの大人としていつも子どもたちの側にいられる人間でありたいと思いました。

藤井勇市
藤井勇市

 

 午後の部は、藤井勇市顧問の「子どもに絵本を届ける大人の心構え」と題した講演です。まず、現在の私たちを取り巻く様々な状況に触れ、小さい子どもがマスクを付けることの悪影響、今後開始されるであろう新型コロナウイルスワクチンについての懸念、菅内閣がデジタル庁を設置したことは国家によって国民の全てを把握される超管理社会の始まりであること、核兵器禁止条約に参加できない日本について等話され、社会で今起こっていることにしっかり目を向けていかなければいけないと思いました。

 故中川正文先生の思い出として「この本は私が一番気に入った本です」と添えて本を贈ってくださったこと、そう言いながら中川先生は全部違う本をプレゼントしていたというエピソードに中川先生のお茶目な一面を伺うことができました。

 「絵本講師としての心構え」として、対面してリアルな交流が持てない状況ではあるが、絵本を読むことによってリアルな交流を取り戻すことが大切であり、それを伝えていくことが絵本講師の役割である。家庭での読み聞かせの中で絵本を教育の道具にしないこと。小さな子の知性に対する敬意・尊厳を失わないこと。子どもが同じ絵本を何度も読みたがる気持ちは、親自身が好きな歌手の同じ曲を何度も聴く気持ちと同じ。子どもを不幸にする一番の方法は、いつでも何でも手に入れられるようにしてやること。そして、藤井先生が70歳を過ぎた今もおばあちゃんの思い出を覚えているのは、同じ時間を共有したからというお話に、いつの時代も子どもたちに一番必要なのはそういった心に残る時間であり、それを絵本講師である私たちが伝えていく大切さを改めて考えました。

大長咲子
大長咲子

 講演後、大長咲子副理事長より事務局からの連絡と最終リポートについての説明がありました。続いてのグループワークでは、今日の講演についての感想や最終リポートについてなど話し合いました。

次回はいよいよ閉講式です。受講生の皆さんのたくさんの笑顔とお会いできることを楽しみにしています。(おか・みさお)

東京第5編 会場風景
東京第5編 会場風景

 

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