第16期 絵本講師・養成講座会場風景

東京会場第5編  2020年01月25日(土)

第16期「絵本講師・養成講座」東京会場第5編

最終リポートへ向けて

報告者 岡部 雅子

第16期「絵本講師・養成講座」東京会場第5編が2020年1月25日、飯田橋レインボービルで開催されました。

 司会は軽妙な語り口でおなじみの大久保広子さんです。

森 ゆり子  午前の部には、森ゆり子理事長による「絵本で子育て」と題しての絵本講座実演がありました。保育園児保護者という設定の受講者へ、日頃の子育への労いの言葉をかけたり質問をしたりしてコミュニケーションをとることから始まりました。
 いちばん好きな絵本を読み、子どもの気づきの実例を挙げながら子どもがどう絵を読んでいるかを解説しました。読み聞かせを通して安心と不安の感情を繰り返し情緒や自己肯定感が育まれること。親だけでは伝えきれないことを絵本の中の言葉を借りて伝えることができること。そうして蓄えた温もりのある感情を伴う言葉がその人の思考や行動の礎になることなどを話されました。

 また、高校生から届いた読み聞かせの感想を通して、進路に悩む時期だからこそ絵本の言葉が心に沁みて今のこのままの自分を認めてもらえたように感じるのではないかとおっしゃり、子どもの求めていることの本質にふれられました。将来自分に子どもが出来たら絵本を読んであげたいという、高校生の感想が一番嬉しいとおっしゃる理事長の笑顔がとてもすてきでした。受講生は時に鼻をすすり目にハンカチを当てながら熱心にメモを取っていました。

 午後の部は、小児科医である片岡直樹氏の講演「テレビ・ビデオ・スマホが子どもの心を破壊している」片岡 直樹 氏です。先生のもとには、言葉の遅れを指摘された子どもを持つ全国の保護者から相談が寄せられているそうです。先生は講演の中で、乳幼児期には電子メディアへの接触を減らし、豊富な経験をして五感を育てることが大切だと提案されました。特に、就労体験(手伝い)、挫折体験(小さな失敗)、欠乏体験(がまん)の機会を、保護者が先回りして奪わないようにとのことでした。

 スライドでは、先生の指導のもとテレビやビデオをやめた生活を送ることで言葉の遅れが改善した例が紹介され、受講生からは重いため息が漏れていました。

 グループワークでは、池田加津子さんから最終リポートの進め方の説明がありました。各グループでは、森理事長の実演を聴いて絵本で愛を伝えられることを実感した、片岡先生のメディアの話でこれまでの講座の内容が全て繋がっていることがわかった、絵本以外のことを学んで考えが深まったなどの感想が交わされていました。

 また、最終リポートの内容や形式についての議論や、参考文献や記事などの情報交換も活発でした。今日のグループワークによって、受講者それぞれがご自身ならではの絵本講座をイメージできたのではないでしょうか。確かな手ごたえを感じられた第5編となりました。

 

(おかべ・まさこ)  岡部 雅子