「えほんの力 絵本の可能性 」「絵本講師・養成講座」について — 大阪会場第1編は中止となりました。(「絵本フォーラム」130号から)

絵本のちから 絵本の可能性

大阪会場第1編は中止となりました。 (報告 中村 利奈)

「絵本フォーラム」130号2020.05.10

養成講座テキスト
 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、第16期「絵本講師・養成講座」東京会場 第6編及び、第17期「絵本講師・養成講座」大阪会場 第1編(開講式・記念講演)は中止となりました。楽しみに待ってくださっていた受講生の皆さまには大変申し訳ないこととなり残念です。同様に、東京会場の第1編、両会場の第2編以降も、DVD受講などになる可能性もありますが、状況に応じて最善を尽くし、しっかり学んでいただけるよう努力してまいりますので、ご自身やご家族の健康に留意されながら絵本を楽しんでお待ちいただけたらと思います。 世界中が目に見えない脅威に襲われている日々ですが、とてもありがたいことに、第17期も多くの受講申込書が届きました。遠方にお住まいで新幹線や飛行機を利用して受講される方もおられ、子育てにおける絵本の大切さや、絵本講師の活動に興味を持たれている方が日本全国にいらっしゃることを改めて実感しています。

 このような状況下でこんなに沢山の方が受講を希望してくださるとは! とスタッフ一同驚き感激しましたが、ひょっとしたら、このような状況だからこそ、なのかもしれません。家庭で過ごす時間が増えている今だからこそ、その時間にぜひ絵本の読み聞かせを取り入れて欲しい、子どもたちに読書の楽しみを味わって欲しい、今こそ絵本や読み聞かせの力について学びたい、周りの人にも伝えたい、と考えておられる方が多いのではないかと思いました。まさにそれこそが、絵本講師の務めだからです。

 「絵本講師って?」とお思いの方もいらっしゃると思います。絵本講師とは、「子育てをするにあたり、いかに絵本の読み聞かせが必要かを学び、それを語り伝えることができる人材」です。その絵本講師を育てる場として、NPO法人「絵本で子育て」センターでは、2004年から「絵本講師・養成講座」を毎年開講しています。受講生の皆さまは絵本について、子育てについてなど多岐にわたって学び、子育て中の方や子育てに関わる方々へ伝えていく術を身に着けていきます。


絵本講師・養成講座テキスト
 臨時休校要請や外出自粛の始まった3月から、子どもたちは家庭で過ごす時間が格段に増えています。それにより、テレビやゲーム、動画視聴の時間が軒並み増えているようです。3月下旬の通信量(日中)は、2月比で最大4割増との新聞記事もありました(テレワークの影響も含む)。その時間のせめて半分でも、読書を楽しんでもらえたらと思わずにはいられません。
読書は押し付けられて楽しめるものではありません。読書を楽しむには、物語を楽しむ経験が必要です。ぜひご家庭で絵本の読み聞かせを親子で楽しんでいただき、読む大人もほっとした時間を過ごし、子どもたちにはそれに加えて物語の楽しさを味わって欲しいと思います。時間に追われる現代に唐突に現れた家庭で過ごす「長時間」。不安が拭えないのは誰しも同じと思いますが、ぜひ前向きに、心を豊かにする時間として使っていただけたらと思います。


(なかむら.りな)  なかむら・りな 

「えほんの力 絵本の可能性 」『絵本講師・養成講座」について(「絵本フォーラム」127号から)

絵本のちから 絵本の可能性

画一的ではなく多様性が魅力 (報告 中村 利奈)

「絵本フォーラム」127号2019.11.10

養成講座風景
 この紙面を読んでくださっている皆さまは、「絵本講師」という言葉が度々出てくることにお気づきかと思います。その「絵本講師」とは何なのか、 簡単に説明しますと、「子育てをするにあたり、いかに絵本の読み聞かせが必要かを学ぴ、 それを語り伝えることができる人」 です。その「絵本講師」を育てる場として、NPO法人「絵本で子育てセンターでは、「絵本講師・養成講座を毎年開催しています。今年度は第16期生が大阪と東京で1年かけて学んでいます。 私はその「絵本講師・養成講座」を第2期に受講した絵本講師で、現在はスタッフとして養成講座に参加しています。その中で感じていることをお話ししたいと思います。

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中村 利奈
 第1に感じることは〝多様性”です。毎年100名前後の受講生が第ー編~第6編までのカリキュラムを学んでいますが、性別、年齢、職業、目的など様々です。 幼稚園や保育園、 学校の先生がご自身のスキルアップのために受講されることもあれぱ、子育て真っ最中の方がご自身の子育てに活かすために受講されることもあります。また、出版関係の方や図書ポランテイアをされている方など、実に様々な方が日本中からいらっしゃいます。海外からDVD受講をされている方もおられます。

 その方たちが、さらに〝多様性”のある講師陣から学んでいきます。詩人、翻訳家、絵本作家、児童文学者、元出版社社長、医科大名誉教授などなど。絵本と子育ての周辺におられる各分野の専門家の方々から、それぞれ、その方だからこそ発信できる充実した内容を聴<ことができます。さらに各講義とは別に、第1巻~第5巻までのテキストもあります。「絵本について」「読み聞かせについて」「絵本講座について」 など、それぞれより深く学ベる内容です。

 ただ、それらは全て”画一的”ではありません。これが私の感じている第2のことです。講師陣の講義、テキスト共にそうですが、それらを聴いて読んで覚えて、それで絵本講師になる、というものではないのです。 それらをきっかけに興味の幅が広がったり、さらに深く知りたくなったり。 その興味を満たすぺく調べていく、読んでいく行為が、結果として学ぴを深めていってくれます。 その方のそれまでの知識や経験、価値観などとその学ぴが掛け算のように増え拡がっていきます。そして後半では、その各自の学びで得たものを発信していく手法を学ぴます。第6編、総括編でのタイトルは「私の絵本講座」です。受講生皆さんが、それぞれ学んできたことをご自身の言葉で、「私 の絵本講座」として仕上げていきます。

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 ”多様性”と”画一的ではない”ということ。この二つが重なることにより、養成講座を修了した絵本講師たちの活動は、とても幅広いものです。「絵本講座」と一口に言っても、そこに講師の個性と各々の深い学ぴが加わり、それぞれの講座はどれ一つとして同じものではありません。「子育てに絵本を役立てて欲しい」という基本的な想いは皆同じで
すが、 発信の方法、言葉や題材の選び方は自分なりに考え抜いたものです。だからこそ、子育てに関わる方々の胸へ、その想いや言葉が届くのだと思います。

 このような講師を育てていく「絵本講師・養成講座」、そして修了した絵本講師たちの「絵本講座」 をお近くで機会がありましたら、ぜひ参加してみていただきたいと思います。

(なかむら.りな)  

「えほんの力 絵本の可能性 」第15期『絵本講師・養成講座』を受講して(「絵本フォーラム」124号から)

絵本のちから 絵本の可能性

第15期『絵本講師・養成講座』を受講して

「絵本フォーラム」124号2019.05.10

絵本の力を信じて  松坂 明美(東京15期)

松坂 明美(東京15期)

 私は子どもの頃から絵本が大好きで、今も自宅にはたくさんの絵本があります。社会人になってからはアナウンサーという仕事柄、読み聞かせの機会が何度かありましたが、読み聞かせは奥が深く、難しさを感じていました。読みのテクニックだけでは成立しないのです。「いつか本格的に絵本を学びたい」という思いは強くなっていきました。 

  一昨年出産し、初めての育児で悩むことも多くありましたが、何度も絵本に助けられ、魅力を改めて実感していました。そして、ますます絵本の世界に飛び込みたくなりました。思い立ったら即行動! というタイプの私は、その勢いのまま事務局に電話。第15期第2編の開催前日のことです。私の急な電話にも快く対応して下さり、そのまま次の日の講座に参加出来ることになったのです。

 講座では、絵本の素晴らしさ、絵本で子育てをすることの大切さなど多くのことを学びました。私自身が子育中であるために、勉強になることがたくさんあり、家に帰って実践したり、家族や友人に伝えたりと、充実した日々を送ることが出来ました。娘を寝かしつけた後、一人課題と向き合って集中する時間。途中何度も夜泣きで中断し、全くはかどらず、毎回締め切りギリギリに提出したこと。今思えば、どれも良い思い出です。

  子育てをして1年ちょっとの私が絵本で子育てについて語れるのか……。と、葛藤もありますが、同じ目線で、「一緒にやってみませんか?」と伝えていきたいです。今、子育てを取り巻く環境は大きく変化しています。スマホやテレビに触れない日、電子音を聞かない日はありません。このような毎日の中でも、絵本を読んでいる時は子どもと向き合い、ほっとする温かな時間にして欲しいと、心から思います。絵本が結んでくれた縁を大切にしながら、絵本の力を信じ、活動していけたらと思います。

(まつざか・あけみ)

絵本を理解する貴重な体験  第15期 吉田 和生(東京15期)

吉田 和生(東京15期)

 数年前に一冊の絵本に出会いました。

  友人に勧められ、大人向けの絵本の読み聞かせの会に参加しました。その時に読んでもらった一冊が子どものころ抱いていた気持ちを思いださせてくれました。大人になった今でも、絵本から受け取るメッセージがあるということを実感し、絵本のすばらしさを伝えたいと自分も大人に向けて絵本を読むようになりました。

  大人への読み聞かせをしていると子育て中のお母さんからお子さんへの読み聞かせについての質問を受けるようになりました。そんなお母さんたちのお役に立つために、学びを深めたいと考えたことが「絵本講師・養成講座」の受講を決めた一番の理由です。

  毎回の講義では、第一線で活躍されている絵本作家、評論家などの方々による講演があり、作品の背景や作品への想い、創作の裏話、絵本を介した親子のコミュニケーションなどこの講座でしか聞くことができない大変貴重なお話が満載でした。

  グループワークでは、様々なバックグラウンドを持つ方々の多様な意見を聞き、議論するなかで子育てにおける絵本の役割などへの理解が深まりました。

  「絵本講師・養成講座」は、単にテキストを読み、内容を理解し覚えるというものではありません。講演を聞き、グループワークで話し合い、課題リポートを作成することで自分で考えながら「絵本」への理解を深めていく過程を体験するものであったと思います。そして、この過程を通して、「絵本で子育て」の意義を単に頭で理解するだけではなく、実感することで、絵本講師として自信を持って講座ができるカリキュラムであったのだと修了レポートの作成を終えた今実感しています。

  これから子育てをする若いお父さんや孫育て? をする世代のお父さんにもお役に立つ講座だと思います。是非、お父さんも受講されてみてはいかがでしょうか。

(よしだ・かずお)

「えほんの力 絵本の可能性 」第15期『絵本講師・養成講座』を受講して(「絵本フォーラム」123号から)

絵本のちから 絵本の可能性

絵本はいつでも最大の味方 (丹下 茉光子)

「絵本フォーラム」123号2019.03.10

丹下・まみこ 

 「絵本講師・養成講座」に通う以前の私は、常に不安でいっぱいでした。自分には何もない気がして、いつも人と比べては落ち込んでばかり。そんな自分を変えたいと思っていた時に、何気なく立ち寄った絵本専門店で、一冊の絵本に出逢いました。綺麗な絵柄に心惹かれて読んでいくうちに、どんどん物語の世界に引き込まれていきました。絵本の言葉が私の心にピタリと重なるように響いてきて、読み終わった後に熱い想いが湧き上がってきました。「絵本ってすごい。こんなにも心に響くんだ。もっと絵本のことを知りたい」と強く思い、「絵本講師・養成講座」に通うことを決めました。

 講座では、スクーリングとリポートという二つの面から、学びを深めていきます。スクーリングでは、講演会と班のグループワークがあります。様々な考え方に触れ、情報交換をしていく中で、私の絵本の世界がぐんと広がっていきました。リポートでは、一つ一つの課題にじっくりと向き合います。少しずつ想いを綴っていく作業は、まるで自分との対話をしているようでした。絵本の世界を広げる、自分の想いを深める、この二つのアプローチはとても大切だと感じました。これからも学び続けていきたいです。

 講座を受けていく中で、何度も自分の心が揺れ動くのを感じました。そのほとんどは不安や自信の無さからくるもので、落ち込むことも多々ありました。その度に力をくれたのは、絵本でした。優しく包み込むように寄り添ってくれる、時には力強く背中を押してくれる、心強いパートナーのようです。

 私が絵本から沢山力をもらっているから、これからは私と同じように悩んだり立ち止まったりしている方に、絵本の力を届けていきたいです。まだまだ模索中だけれど、絵本という頼もしい存在と一緒に、新たな一歩を踏み出してみようと思います。
(たんげ・まみこ)