●講師●  大長 咲子…2022/12/22 池田五月山教会幼稚園ぐりとぐら/池田五月山教会幼稚園(大阪府池田市)

●講師●  大長 咲子…2022/12/22(大阪府池田市)
●講師●  大長 咲子…2022/12/22(大阪府池田市)
●講師●  大長 咲子…2022/12/22(大阪府池田市)
●講師●  大長 咲子…2022/12/22(大阪府池田市)
●講師●  大長 咲子…2022/12/22(大阪府池田市)

1)担当講師名:大長 咲子

2)芦屋or東京第何期:芦屋1期

3)主催:池田五月山教会幼稚園ぐりとぐら

4)県・市町村:大阪府池田市

5)開催年月日(西暦):2022年12月22日

6)開催場所:池田五月山教会幼稚園

7)参加者のコメント(感想文):子どもたちに読みたくなるようなクリスマス絵本にふれることができました。美しい絵や様々な色使いを楽しんで、あたたかく嬉しいクリスマスの喜びを子どもたちと感じて過ごしたいと思いました。

8)コメント者名:前田 彩乃さん

9)参加人数:

10)読んだ絵本の名前:

子ども歳時記130 「読書」をめぐるおはなし(大長咲子)

だいちょう さきこ
大長 咲子
からすのパンやさん
『からすのパンやさん』
(かこさとし/絵と文、偕成社)

 ちょっとした昔ばなしになってしまいますが……。私が高校生だったころ、現代文の授業でこんな宿題が出されました。それは、「読」を含んだ熟語をできるだけたくさん辞書で引いて、それらの言葉の中で、自らの読書姿勢に最も当てはまる言葉を考察せよ、というものでした。今と違って、パソコンで検索すると簡単に言葉が出てくる時代ではありません。それなりに苦労して言葉を探し出しました。そしてその中で、いくつかの大変魅力的な言葉と出合いました。例えば「味読」、「体読」、「精読」。なんと豊かなことばなのでしょう。しかし、課題にそって自らの読書姿勢を省みると、その素的なことばに私の読書は到底当てはまらず、せいぜい「多読」ではあるが、「濫読(乱読)」。当時の私は、本を読むことが好きではありましたが、もう手あたり次第。まさに読み散らかすとういうような読書の仕方でした。この課題によって自らの「品のない読書姿勢」に落胆し、書物を味わい深く、注意深く、書かれた事柄の真意を深く読み取る読書に憧れました。

 そして時は流れ、ある時私は大変魅力的で理想的な読書家たちに出会ったのです。それは、私の読み聞かせを聞いていた幼いころのわが子たちであり、読み聞かせ会でお話を聞いている子どもたちでした。

  彼ら、彼女たちは、『あおくんときいろちゃん』(至光社)に一喜一憂し、『どろんこハリー』(福音館書店)にごくりと唾をのみ、最後にぱっと笑顔を咲かせる。あぁ、読書とは、本を楽しむこととは、まさにこのことなのだなと思わされることになりました。そう考えると、遡ることウン十年前、幼稚園のころに先生に読んでもらった、加古里子さんの絵本の数々に私は熱中したことを思い出しました。『からすのパンやさん』(偕成社)、『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)その他の科学の絵本など、数えればきりがないほどの絵本を「耽読」したのでした。

 その絵本の思い出が、私にも素的な読書の素養があったのだな、と私の読書体験に自信を持たせてくれました。そして読書とは自分で読むことだけではなく、誰かに読んでもらうこと、そして形はどうであれお話そのものを楽しむことなのだということを改めて絵本に教えてもらいました。

 この春は、子どもたちはおうちで過ごさなければいけないことが多かったようです。お父さんやお母さんも子どもと一緒にいる時間がいつもより長かったかもしれません。退屈しのぎでも構いません。こんな時こそ子どもと一緒に絵本を開いてみませんか。あなたのお膝の上で、ぽっかりと口を開いて物語の世界に入り込んでいる、かわいく尊い読書家と出会えるチャンスかもしれません。
(だいちょう・さきこ)