絵本体験記278 「ブックスタートによせて」小曳 昌子 (京都府)

~絵本フォーラム第126号(2019年07.10)より

 ブックスタートに携わり子どもたちに触れあって10年が過ぎました。我が子の子育て中は無我夢中で気づけなかった事が沢山あります。

 一歳前の子どもたちが『いない いない ばあ』の絵本に身体中で感情を表現する様子を見ると読み聞かせをしている私も嬉しくなります。お母さんに抱っこされその膝の上で足をバタバタさせて喜んでくれるのです。

 「ばあ」のことばに、一生懸命絵を見ている子どもさんや、絵本に興味しんしんで近寄ってきてくれる子どもさんなど反応は様々です。みんな違ってみんないいということを実感しています。あまり読み聞かせをしていない方や、絵本を閉じたり開いたりなめたりして読み聞かせに関心をしめさないと心配されるお母さんもいらっしゃいます。成長のペースはそれぞれです。色々含めて、すべてが親子のコミュニケーションを育てるうえで大切なことだと今は自信を持って言えます。まずは絵本とのコミュニケーションをお母さんも楽しんでもらえたらと思っています。

 ブックスタートに参加するうちに思い出したことがあります。子育て中『泣いた赤鬼』を読んでいて、私自身が胸に迫ってくるものがあり言葉につまった時に、涙ぐんでいた息子のこと。『三びきのやぎのがらがらどん』を繰り返し繰り返し読んで、絵本がしわになっていること。あの頃の私自身に出会うのです。幸せな気持ちになります。絵本を通して心が動くときを発見できるブックスタートをこれからも続けていきたいと思います。
(こびき・まさこ)