私の絵本体験記
「絵本フォーラム」38号(2005年01.10)より
子どもの心に寄り添う絵本の力
川上 洋子さん(兵庫県明石市)

写真  幼児期からの英語教育が叫ばれている昨今、長女も4歳のときに英語に興味を示し、英会話教室に通わせることにしました。しかし、年長組になったとき、「お勉強は嫌。もっと友達と遊びたい」と言い出しました。
 実は、週3日のレッスンの送り迎えには私も疲れてしまい、眠る前の読み聞かせもサボりがちだったのですが、途中で投げ出すのは子どもによくないことだという気持ちもあり、悶々とした日々を送っていたのです。ところが、長女の言葉遣いが荒くなり、自転車で遠くへ行ってしまう事件もあったりして、子どもの発するサインにハッと気づかされました。そこで、英語のレッスンはやめさせ、思うままに遊ばせることにしました。そして、新たに「こぐまコース」を購入し、また以前のように読み聞かせを始めたのです。
 「こぐまコース」には、成長する長女の心に寄り添える本がたくさんあります。『えんぴつびな』には涙を流し、『びゅんびゅんごまがまわったら』は、「私もこんなところで遊びたいよ」と、強いあこがれを抱いて聞いています。しばらくすると、長女の言葉遣いは優しくなっていました。
 楽しんでいるのなら、きっと英会話は続けていたでしょう。けれど、長女に必要だったのは、赤ちゃん時代から続けていた絵本の読み聞かせであり、親が語りかける優しい日本語だったのです。そのことに気づき、私はつきものが落ちたように気持ちが楽になりました。子どもが子どもでいられる時間は案外短いのかもしれません。その時間を大事にしてあげようと思いました。これからもすてきな絵本を読み聞かせ、心にたくさんの宝物を贈り続けてあげたいと思います。
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