37歳になるまで仕事ばかりしていた私ですが、子どもを授かったおかげでたくさんの人と出会い、交流が生まれ、会社と家との往復の生活だけでは知らなかったいろんな世界が広がりました。その中でも、絵本との出会いは大変貴重なものです。
それまでは、本といっても、私が読んでいたのは雑誌やマンガでしたので、初めて絵本を読んでもらったとき、その語りに穏やかな心地よさを感じました。娘が生まれてしばらくはどこへも出かけられず、何を話しかけてよいのか困ったときも、大きな声で身振り手振り読んでいると、私のいい気分転換になりました。物語に感動し、楽しい時間を過ごすことができたのです。子どもとはまだ会話できなくても、絵本を読み聞かせているうちに気持ちが通じ合い、何を訴えているのかわかるような気がしてきました。
1歳になった今、読んでほしい本を持ってきて私に手渡し、ひざに座ったり、絵本の中の文章を口ずさむと、その本を持ってきたりします。そんなとき、私も夫もとても幸せな気分になります。子どもとのふれあいの時間が親を育て、家族のきずなを深めていくのですね。
子育ては大変といって、楽をするために便利な世の中ですが、機械音や自動のおもちゃに頼らず、読み聞かせのあたたかい声やだっこの肌のぬくもりに安らげる環境になるように、これからも努力していこうと思います。そして、何十年かたって、娘が子どもたちに絵本を読んであげるとき、幼かった自分と両親と絵本のことを思い出してほしい。
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