リレー

子育ては親育ち
(兵庫・明石市教育委員会社会教育推進課指導主事・丹谷 雅之)


 核家族化、少子化、人間関係の希薄化などにより、子育てをする親の現状はますます厳しくなってきています。わが子の成長に喜びを感じながらも、ほんの些細なことで不安になったり、悩んでしまったりすることがあります。そんな不安や悩みを気軽に発信したり、受け止め合える地域の子育ての輪をつくりたい。それが私ども行政の子育て支援担当者の願いです。
 明石市では、子育て支援を考えるにあたり、「大人が変われば子どもも変わる」「元気な子どもを育てるには大人が元気でなければ」を基本コンセプトにして、様々な事業に取り組んでいます。その一つに「子育て学習室」があります。この事業は、市内28幼稚園区に1ヶ所ずつ開設し、「自分の子どもは自分で育てる」を柱に「親育ち」を目指して、各子育て学習室の運営委員が中心となり、学習内容・活動の企画立案などすべて自主運営で行っています。学習室ごとに活動内容は様々ですが、「エプロンシアター」や「絵本の集い」をプログラムに入れている学習室も多く、講師をお招きし、読み聞かせの会なども実施しています。
 また、子育て中の市民が自由に参加できる事業として、年間6回の「子育てひろば」を開いています。先日、ほるぷフォーラムから講師をお招きし、「絵本で子育て」という講演会を開催しました。読み聞かせをすることは親の愛情を伝えること、子どもの心を揺さぶること、スキンシップの手立てという講師の先生の話を参加者もしっかり受け止めてくれたようでした。
 子育てをしているからこそ絵本との出会いがあり、子育て仲間との出会いもあります。子育てを重荷や、克服すべき試練ととらえず、「こうしなければならない」という子育ての思い込みからのがれて、肩の力を抜いた子育て、一人ではなく仲間と一緒にする子育て、困った時はお互い様と言い合える子育ての環境づくりを今後も進めていきたいと考えています。
絵本フォーラム28号(2003年5.10)より

前へ次へ