リレー

地域の子どもは地域で育てる
(山形・鈴木眼科院長・鈴木 一作)


 妻の絵本読み語り活動に付き合うようになって5年になります。週1回、朝自習の時間に市内小学校の教室へ出向いて、15分間の読み語りです。当初は妻と友人らが1つの小学校で始めたこの活動ですが、今では市内小学校11校の学区毎に独自の読み語りボランティアグループができています。つまり、「地域の子どもは地域で育てる」が市内の各地域で見事に実践されているわけです。私自身は、4つの小学校で絵本を読んでいます。眼科開業医ということもあって朝9時までに戻れる小学校だけですが、学校医が絵本を読みに来るというのも面白いでしょう。おかげで、日常診療で当院にやってきた子ども達とは、親しみを持って言葉を交し合えます。
 私が絵本読み語りにのめりこんでしまった理由は、次の4つです。1つは、絵本自体が持つ素晴らしいメッセージを、一人でも多くの子どもに伝えたいこと。2つ目は、仕事も人柄も様々な地域の老若男女が、子ども達と直接関わり合えること。3つ目は、子ども達が大人になった時、「子どもの頃、ああして私達に関わってくれた大人がいたな」と思い出し、彼らが地域で子ども達を見守り、励まし、育てる大切さを考える芽の1つになって欲しいこと。4つ目は、何と言っても私自身が、子ども達の笑顔と輝く瞳から生きる活力をもらうこと。
 夫婦でこうした活動を楽しみながら頑張っている姿を、高1・中2・小5の息子達はどう思っているのでしょう。「大目に見てやっているんだぞ」というのが、彼らの本音かも知れません。それでも、そうした親の姿を見せることも我が家の子育てにつながっていることを信じて、今日も息子達相手に絵本読みの練習です。
絵本フォーラム27号(2003年3.10)より


前へ次へ