リレー

みんなが集う交流の場に
(尼崎市立すこやかブラザ所長・岡田文男)


写真  どこの市町村でも少子化のための政策をいろいろと取り組んでおられることと思いますが、尼崎市でも子育て支援の拠点として「すこやかプラザ」を平成12年6月にオープンしました。その一角にプレイルーム「パル(仲間)」が設置されていますが、1年3ヶ月経過したこの8月に利用者が3万人を超える反響がありました。
 その理由として、床がマットで安全であったり、冷暖房完備で遊具(木製おもちゃ20種、ブロック、ままごと等)や絵本(約200冊)のほかに育児書(約80冊)、子どもトイレなど備えが十分であるのが好まれたのか、同じ年齢(1歳〜3歳)の子ども同士が遊ぶきっかけができたり、お母さん同士も同じ年齢の子どもをもつお母さんということで、共通の話題で交流が盛んとなるようなことが市民ニーズにあったのではと思っています。また、駅前で交通の便が良いこともあり、他都市からの利用者が1割もあり、それも利用者増の一因かと思われます。
 このプレイルームでは保育士を配置し、子育ての相談にも対処しています。なぜなら利用者の多くは核家族でひとりっ子が多く、育児書やメールでの情報を得て多くの知識はもちあわせています。例えば、離乳食が早いと子どもの胃や腸が発達しきれていないのでアトピー体質になりやすいという専門家がいれば、1歳位まで母乳だけでは、栄養が偏って発達に支障が生じるという専門家もいる。他にもおしゃぶりは鼻呼吸ができるので空気中のウィルスや細菌を防ぐ機能が働き、アトピーやぜん息になりにくくなると言う推進派がいれば、歯並びが悪くなるので1歳位でやめなさいという反対派もいる。それが返って悩みやストレスになっているように思うからです。もっと子育ては、おおらかであってほしいと思うのですが…。
 パルの利用も、マンネリ化しないよう月1回『絵本の読み聞かせ』や『工作遊び』を開いたり、子どもへの一声呼びかけ(こんにちはお名前は、後片付けしようね等)でしつけの一端を実行し、利用者とのコミュニケーションを図っています。しかし中にはケンカが起こったり、狭くておもちゃも与えられず辛抱の一時もあります。これが協同の生き方であり、学び教えられる道だと思います。
 小さい時から多くの仲間と過ごす体験が大切であり、子どもとお母さんの明るい交流の場になれば幸いと思っています。
絵本フォーラム19号(2001年11.10)より

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