「いま私たちにできること」
2015年度第2回「絵本講師の会」合同交流会が2016年1月30日(土)、芦屋市民センターにて行われました。最強と言われた寒波が通り過ぎ、六甲おろしの風もいくぶん和らいだ日、関西を中心に遠方から来られた方々も含めて約55名が集いました。
久しぶりの再会に笑みがこぼれる和やかな雰囲気の中、星野めぐみさん(芦屋8期)の司会進行で開会となりました。
まず初めに、森ゆり子理事長よりごあいさつがありました。冒頭で、幼い子どもへの虐待事件があとを絶たないというお話をされた時、近況報告の表紙に書かれた「いま私たちにできること」という言葉が目に留まりました。絵本講師として、私たちにできることは何かを、今一度見つめ直したいと思いました。また、春から始まる第13期「絵本講師・養成講座」受講生の募集が開始されているので、興味のある方にはぜひお知らせをしてくださいとのお話もありました。
さらに、むのたけじ先生のお元気そうな近況報告をうかがって、大変嬉しく思いました。
続いて全員の自己紹介の後、各支部の活動報告がありました。皆さん各地で熱心に活動をされている様子がうかがえました。
いよいよ絵本講座の実演です。午前の部の講師は、弓立瑶子さん(芦屋7期)。「絵本はこころの中に」と題して、小学校高学年以上の子どもの保護者向け講座です。小中学校での読み聞かせ活動をされている弓立さん。読み聞かせグループ誕生のお話は興味深いものでした。特に中学校で1年生に読み聞かせを始めたところ、先生方から要請があり中2・中3にも広がったとのこと。思春期の子どもたちは、絵本への関心が薄らいだように見えても実は熱心に聴いてくれるそうです。高学年向けの絵本の紹介は大変参考になりました。またご自身の子育ての経験談も語られました。子どもに良かれと思っても、子どもは望んでいないことがある。しかしそれを親にうまく伝えられない。思春期になってからその溜め込んだ思いが表に溢れ出る。子どもを肯定し理解すること。そのためには家庭内で親子の話し合う時間を大切にして、お互いのメッセージを伝え合いたい。一人一人違うことを認め合いたい。子育ては親育ちであるというお話の数々に、深く共感しました。弓立さんのお人柄そのままに、優しい空気が満ち溢れ心温まる講座でした。しばし余韻に浸りながらお昼の休憩に入りました。
美味しい昼食をいただいた後は、午後の講座です。午後の部の講師は神奈川からお越しくださった、内田早苗さん(東京7期)。「絵本で親子の毎日が変わる?!〜『絵本で子育て』が育むもの〜」と題しての、乳幼児の保護者向け講座です。開始前に、「小さいお子さんはぐずったり、動き回るのが当たり前だから、気にしなくていいですよ」と語りかけられ、きっとこの一言で気持ちがぐっと楽になるお母さん方が多いのではないでしょうか。10歳男児の母である内田さん。月に10回以上講座をされているそうで驚きです。「待てる親になろう」というのが、一貫したテーマだとか。絵本で子育てをしていると、「待つ」子育てができることを、具体例を交えながら分かりやすくお話くださいました。絵本は物事を教えるための道具ではなく、心を育てるもの。絵本で心を動かす体験をさせてあげたい。「元々は子どもが苦手で、読み聞かせも上手にできなかった。でもそれがかえって良かったかも」と内田さん。お子さんとのエピソードが微笑ましく、終始笑いと頷きが絶えない活気のある講座でした。持参本のリストをレジュメに書かずブログに載せることや、絵本の並べ方など、随所に工夫がみられ勉強になるとともに、「失敗はない、反省はある」の言葉が心に響きました。
講座の後はグループワークです。私が参加したグループでは、現在の活動状況を中心に、皆さん熱心にお話されました。熱心さゆえに、ともすれば一人ずつの話が長くなりがちですが、なかには、とても簡潔にお話をされた方もおられて感心しました。時間と人数のバランスを考えて自分の話をまとめることは、グループワークのみならず日頃の絵本講師活動においても、大切な要素だと思います。また個人的には、せっかくの機会だったので、もっと多くの方とお話をさせていただけばよかったと感じています。
最後に、舛谷裕子副会長(芦屋3期)によるあいさつがあり、人気グループの謝罪会見を例に話されました。人を認め尊重しあうことの大切さを、あらためて考え、伝え合う時代に来ていることを感じつつ、閉会となりました。
今回もまた沢山の気づきと刺激をいただいた交流会となりました。有意義な時間が過ごせましたことを、心から感謝いたします。(つかはら・まゆみ)
(交流会リポート 塚原真弓:芦屋第11期生)
会場風景 |