< 2012年度 東京会場 第1回交流会 報告 ( 2012/06/02)

それぞれのはばたきへ

 第1回絵本講師の会(はばたきの会)交流会が6月2日、東京西新宿三井ビル13階のラボ教育センタで開催されました。今年3月末の閉講式を終えてから、新たな旅立ちを胸に別れた絵本講師のみなさんとの再会、そして現在すでに各地で活躍していらっしゃる先輩方のお話を伺える交流の機会となり、心待ちにして会場に向かいました。    

会場では一足先に準備してくださったスタッフの方により受け付けが用意され、笑顔あふれる再会となりました。多くの会員は10時前に次々に会場入られます。はじめてお会いする絵本講師の方とも一緒のテーブルに着くなり、はじめてとは思えない和やかな雰囲気で談笑している間に、司会の岡部雅子さん(芦屋2期)のにこやかなあいさつで交流会が始まりました。


まず、森ゆり子理事長よりあいさつがありました。
東京9期もつい先日(5月26日)開講した報告と、東京会場は人数に若干余裕があるので、2回目からの受講でも対応が可能とのお話でした。そして本日の交流会について、4月に行われた芦屋での交流会の後、東京での交流会もあるのですか? と心待ちにされた問い合わせが事務局にあったと話されました。現在絵本講師は8期終了時点で1000名、はばたきの会会員が300名になると話されました。
今後ますます私達の活動を着実なものにしていくことが大切な役割であるように感じました。来年10期の迎える際には何かイベントができればと、何かアイデイアがあれば事務局までと話されました。

そして本日、芦屋から一緒にお越し頂いた大長咲子さん(理事、副会長)の紹介に移り、今まで『絵本フォーラム』等で拝見したことがありましたが、直接拝顔出来て笑顔がとても素敵な印象でした。大長さんご自身もあいさつで「今日は直接、生の声で芦屋での活動内容など、お話しできたらと思います」と話されました。 『絵本フォーラム』を拝見していても神戸、芦屋での活動は活発です。是非この機会に参考にさせて頂きたいと思いました。
続いて、中村利奈さん(芦屋2期)により会則説明があり、絵本講師の会(はばたきの会)の規約が読みあげられました。

次に「講師活動への第一歩」(絵本講師への道)と題して野口理英さん(東京6期)のお話を伺いました。息子さんとの日常の読み聞かせから絵本講師を受講するきっかけ。そして今では絵本講師として講座をいくつも経験されています。控えめなやさしい語り方で経験談を話してくださいました。
図書館のパートの求人面接から、図書館の職員さん向けに講座をすることになった急な展開が活動するきっかけになっていったことには驚きました。偶然が重なったチャンスを生かして、一歩一歩大切にしていらっしゃる様子が丁寧な話し方で伝わりました。野口さんは、はじめての講座で図書館の職員さん30名を前に話された時、書いたリポートを言葉で伝える難しさも感じたと話されましたが、反応が好感触だったことに励まされたそうです。講座で持参されるプロフィール付きのパンフレットや、絵本講座の簡単なレジュメなど準備しておくとよい資料も見せて頂き実践へ向けてのイメージが沸きました。
絵本のよさを伝えたい、でもまだ自信がないと両方の気持ちで揺れている絵本講師達に、踏み出す勇気をもらった気がします。

そして交流会は自己紹介へ。一人一分でマイクが順に回ります。現在活動されている方もされていない方もさまざま近況が話され、時には会場が笑いに包まれました。お一人お一人のお顔を拝見しながら、絵本を通じたさまざまな関わりがあることを改めて感じました。

自己紹介の後、現在関東にある支部(世田谷と神奈川)紹介がありました。支部ではメーリングリストを活用しお互いの個々の活動なども近況を知らせるなど情報交換をツールにし、時には集まり絵本を持ち寄り勉強会や、メンバーで模擬講座をするなど意識を継続することを目的とした活動内容などが紹介されました。

一人で活動していくことも地道な努力ですが、グループでの活動だとより責任感や向上心が養われ、モチベーションを保つためにも仲間の存在は心強いものです。東京でのさらなる定着や基盤作りはこれからの課題になりつつ、そこが鍵になっていくかもしれません。これから更なる期待もしていきたいところだと感じました。

お昼は用意していただいたお弁当を食べながら、自己紹介で話したことがきっかけになり人の輪が広がりあちこちで絵本の話や、近況や今後の課題に触れながら、気が付くとたくさんの方とお話の時間が持てました。

午後の部からは川口結実さん(東京7期)のミニ絵本講座から始まりました。 
@絵本を好きになったきっかけ
A生まれ育った環境
B子ども達の環境の変化
について話されました。
絵本講師として、他の方の講座を聴くことが出来るのはとても参考になります。二人のお子さんの子育てをしながら出会ったという数々の絵本、今では、ご自宅に500冊もの絵本に囲まれ支部としても精力的に活動されています。自分達が子どもの頃と現在の子育て環境との対比にふれながら、戦後急速な経済な急成長をとげた日本。物資が豊かになった分、精神的なものが置き去りにされてきた現状。人間関係の希薄さ。この問題を深刻に受け止めなければならないという流れで講座を組んでいらっしゃいました。黒板に用意された資料には海外と比べて日本は親子での時間が少ないことを表すグラフ(家族の時間プロジェクト)などを参考になさっていて、データや資料の活用方法にも興味深いものがありました。最後に「親子の絆に絵本を」とまとめられ、「絵本は言葉で聞き、心に(効き)親子の時間が育まれます」と締めくくられました。

絵本と今の子育て事情や環境に踏み込んだ内容はより深い関係にあり、講座に対してもより説得力を増します。日頃からいろんな話が出来るよう勉強されていることも刺激になりました。
その後、グループワークとなり今回の参加者では8期生が多かったこともあり、講座や活動方法についてはまだ手探りの状態なため、さまざまな質問が出ました。
午前中に野口さんの体験談、そして川口さんの絵本講座を聞かせていただいたことを基に、活動に向けてより意識の高まった所での話し合いだったため、如何にきっかけを作っていくか、または周りにどう働きかけていくか、が話し合いの中心だったように感じました。

先輩講師の経験談からお友達やサークルなど少ない人数でも真摯で丁寧な対応をしていく最初の一歩が、次に繋がる活動に発展しているところに学ぶべき姿がありました。聞いてくださる方に畏怖と敬意をもって話す姿勢、この気持ちを忘れてはいけないと感じました。

グループワークの途中で住んでいる地域性を考え、東京でも活動を実践していくために、ある程度まとまった地域単位での活動の促進がさらなる大きな力を発揮できるのではとの議論から、関東を東西南北のグループに別けて話し合いがもたれました。
このグループワークを通じ、身近な地域の方と情報を交換できたことも有意義でした。個人で地道に活動していていらっしゃる絵本講師の方々と協力し、地域や施設で絵本の良さを発信していけたら東京での活動がもっと飛躍するのではないかと期待と希望を感じ、それぞれの志、絵本への熱い思いが刺激になるグループワークになりました。

最後に閉会のあいさつは東京6期の福島春夫さんが「たくさんの学びを得て、それぞれの立ち位置で出来ることを始めよう!」と溌剌とした言葉で締め括られました。各地で絵本ライブをなさっている福島さんの明るい声にまとまり笑顔と拍手をもって交流会が無事終りました。自分達のそれぞれの立ち位置で絵本の良さを伝えていく役割があると思っています。みんなで羽ばたいていきましょう! そんな思いを胸に笑顔で会場を後にしました。(なかはら・かよ)

報告・中原佳代(東京8期)



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