伊座利ツアー報告

2011年夏(第3回)

<「いざりキャンプツアー」漂流記>

「はばたきの会」交流会 伊座利キャンプ  2011

子どもも大人も自然に還る


*さあ、伊座利へ出発!

 夏休み最後の土曜日は、はばたきの会恒例行事となった「伊座利キャンプツアー」の集合の日です。過去に参加された方々は「待ってました!!」と言わんばかりに、初めて参加される方々は胸にふつふつと沸き上がる、それぞれの思いを抱いての集合となりました。

ただひとつ気がかりなのは台風が接近している、ということです。まぁ、出発時には雨も降っていない、カンカンデ照りでもない、なので絶好のキャンプツァーの幕開けとなりました。

 今年は大人 18 人、子ども 17 人の参加でしたので大型バス一台のご一行様です。芦屋駅を後にしたバスの中では老若男女参加者全員がマイクを持ち自己紹介をしました。「全員のお顔がみられて仲良くなれそう」との声がありました。自己紹介がひと段落した頃、明石大橋に差しかかろうとした時に大きいお姉さん達3人組による明石海峡大橋のガイドがありました。バスのあちこちから「へぇ〜」「ほぉ〜」との声が聞こえてきました。同じく、大鳴門橋についても橋のガイドがありました。休憩場所である那賀川ドライブイン「道の駅」に着くまで車中は大人による歌あり、手遊びあり、子どもによる歌あり、マイクパフォーマンスありと、とても和やかな時が流れていきました。

*梅田先生のアトリエ・日和佐にて

 那賀川 道の駅で我々一行を出迎えて下さった佳子先生にもバスに乗っていただき、一路日和佐へ。道中に火力発電所がありました。建設予定当初は「原子力発電所」という案もあったそうです。それを地元住民の強い反対運動により断念し、現在の火力発電所になった、というエピソードを佳子先生から伺いました。「今思うと、反対していただいて本当によかった」と佳子先生。全くそうだな、と相槌を打った参加者も多かったのではないでしょうか。バスは日和佐川に程近い所にある梅田先生のアトリエに着きました。

「よく来たね。いらっしゃい。」といつもの笑顔で先生は迎えて下さいました。お兄ちゃん達・お姉ちゃん達は早速水着に着替え、ライフジャケットを身にまとい川へ出発!!小さな子ども達は軒下の小石と一緒に撒かれた色とりどりのビー玉やおはじきを見つけて「うわぁ〜!!」「わぁ、宝物や!」と目をキラキラさせながら、しばらくの間宝探しに没頭していました。それがひと段落するといそいそと水着・ライフジャケットを身にまとい、お兄ちゃん、お姉ちゃんのいる日和佐川へ出発!!

 川の水はとても冷たく、澄んでいて、そして急流でした。そのような川でも浅い所や流れの穏やかな所を見つけて、川の流れに乗って流されていく「流れ遊び」をしたり、カヌーに乗ったり、石投げ遊びをしたり、各々の川遊びを満喫しました。川からあがり梅田先生宅の井戸でひやされたスイカをいただきました。その甘く、みずみずしかったこと!!!川での充実感、皆でいられて楽しい、日和佐の自然の素晴らしさ等、絶妙のスパイスとして加わりより一層スイカがおいしく感じました。

*伊座利に到着

 その後バスは今宵の宿泊先である伊座利へ向けて出発! 陸の孤島と言われる伊座利に着くには険しい伊座利峠を越えていかなければいけません。その峠は大型バスにとっては大変厳しいものでした。先の見えないカーブが続きます。周りの木々からは枝とバスのハイタッチでのお出迎えです。対向車と出会えば、相手さまに後退していただき道を譲ってもらいました。私は何度か対向車に車中より謝辞を述べました。バスとカーブの相性が少しでもそぐわなければ今度はバスが後退してカーブに合わせます。大型バスの運転手さん(渋谷さん)には本当に神経を使わせたな、と思います。伊座利へ派遣された運転手さんです。きっと会社の中での精鋭運転手さん、なのでしょう。すばらしい、お見事なドライビングテクニックを披露していただきました。

 その運転手さんのおかげもあって、バスは何事もなく伊座利へ着きました。さて、次は磯遊びだぁ、と息巻いていた子ども達……。あろうことか、ここで「台風接近中」というフレーズが登場してしまいました。波が荒々しく防波堤に打ち付けています。この海で遊ぶのは危険だ、と地元漁師のおっちゃんの判断により河口に程近い場所での川遊びに変更となりました。川にはえびがいて、魚がいて、たちまち子ども達の歓声が聞こえてきました。何があっても柔軟に対応できる子ども達がとてもたくましく思えました。台風が近づいている海では遊べない、自然を相手にしているとはこういう事だよ、と子ども達に伝わったことだと思います。

*伊座利での宴

 さぁ、さぁキャンプ一番の盛り上がりどころ、バーベキューの準備は着々と進んでいます。野菜を切る音、生肉を並べる手。そして漁師のおっちゃん達から差し入れのあわびに包丁を入れる様子は圧巻でした。「日頃食べられないような太さに切ろうな」。そう梅田先生からのナイスアドバイスを受けての包丁さばきは感無量でした。実は私は昨年のキャンプ参加があわびデビューでした。その感覚で日常に戻ると味、太さのギャップにびっくりしたものでした。以来、封印していた私の中での“あわび”が晴れて解き放たれました。大地の恵み、海の恵み、豊かな自然、そして愛すべき参加者たちとともに宴は続いていきます。あちらこちらで「プシュー」「プシュー」と缶ビールを開ける音が絶えなかったことは書くまでもないですよね。普段は町の真ん中に住む私たち。打ち上げ花火を日頃から楽しめるご家庭も少ないのでは?!伊座利では音も光線も歓声も大自然が受け止めてくれます。打ち上げ花火も楽しんじゃいました。「満天に輝く星とはこのことよ」と誇らしげな星達の下で花火大会は大人も子どももおおいに楽しみました。さて、宴もたけなわではございますが、時間には限りがございます。バーベキューはお開きとなり交流会館の中で絵本の読み聞かせ会。もちろんどの絵本も梅田先生・佳子先生が手掛けられた絵本です。

それが終わると子どもたちは大きいお姉ちゃんに連れられての女子グループと大きいお兄ちゃんに連れられての男子グループに分かれてお風呂タイムです。そこで裸と裸の付き合いをしました。その頃からでしょうか、もっと前からでしょうか、子ども達はいつしかすっかり打ち解けあっていました。異年齢の子ども達がざっくばらんに過ごせる時間はとても大切だな、と痛感しました。寝静まった子ども達、目が固い子ども達のいる夜更け、大人達は別室にて梅田先生・佳子先生を真ん中においての二次会が進められていました。

 私は我が子達を寝かしつける時に一緒に寝てしまい、二次会には参加できなかった事をとても悔しく思っています。二次会に参加した主人に会の様子、話題を尋ねると「 3 ・ 11 以降の日本人の変化」「教育・育児問題」等とか。私はとても興味関心のある分野なので、本当に残念でした。

*再び日和佐へ

 翌日やはり「台風接近」の海の様子。それは素人目からみてもよくわかります。なので、朝食後、荷物をまとめて交流会館を全員でピカピカに掃除をしてから昨日の河口で川遊び。昨日と同様に盛り上がる子ども達にもっと素敵なお知らせが届きました。「昨日の日和佐川でもう一度遊びませんか。」と、梅田先生・佳子先生からのご招待がありました。「やったー!!」と子ども達の喜ぶ声。やはり、あの清流遊びは子ども達のこころを虜にしてしまったのでしょう。再び、日和佐川で遊ぶ子ども達は昨日の要領で、また昨日はできなかった事にも挑戦をして心も体もフル活動で遊んでいました。昼食にカレーとサラダとそして鮎をいただきました。川からあがった後にはなんと!またスイカに舌鼓をうちました。そのスイカの味については……お察しいただけますよね。

*そして芦屋へ

 梅田先生・佳子先生に「またいらっしゃい」と温かいお言葉をいただき、バスは芦屋へと向かいます。車中では疲れをしらない子ども達にエネルギーの違いをまざまざと見せつけられました。この 2 日間に子ども達全員でひとつの輪を造り上げていました。残念でした。ケガなし、事故なしの素敵な旅でした。

 伊座利キャンプに行きたくなりましたか?! はだたきの会会員の方は 2012 の夏、是非ご一緒しましょう。そうでない方は晴れて絵本講師となられて、はだたきの会会員となってから是非ご一緒しましょう。

 日和佐川、伊座利の山河はきっと私たちを待っていてくれますよ。

報告者・熊谷ひとみ(芦屋6期)


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