2007年度第2回

まだまだ学ぶことがいっぱいある

 木枯らし吹く上野の森、東京文化会館中会議室に 10 名の絵本講師が集いました。待望の東京会場「絵本講師の会」交流会の第 2 回目が、井下陽子・はばたきの会副会長を迎え、山中光江・関東地区理事のあいさつで始まりました。

 午前の部、全員による近況報告では、幼稚園・保育園・小・中学校での読み聞かせや人形劇のボランティア活動を 10 年以上続けている、乳幼児親子向けのお話会でワンポイントアドバイスをしている等の報告がありました。また、少年院の子ども達や高校生とも絵本の感動を共有できたという報告や、読み聞かせ活動はしているが絵本講師としての活動はまだ出来ていないので広報活動を知りたいとの質問もありました。

 情報交換や雑談の弾んだ和やかな昼食休憩を挟み、午後の部は、先ず、黒岩真水子さん(東京 3 期)の活動報告からです。書店員として、来店する親子向けの読み聞かせ・手遊び会を 12 年以上続けたこと。地域の読み聞かせ・朗読の会に属し、ラジオ局で朗読していること。また、図書館や保育園・小・中学校それぞれに毎月 2 回ずつ通っていること。重い紙芝居の道具を背負い片道 40 分かけて徒歩で通う園もあるとのこと。クラスの中の一人でもいいから絵本から何かを感じ取って欲しい、一人一人の受け止め方を大事にしたいとの思いで、感想は聞かないでいること。そして、この活動の原点は、父の胡坐にすっぽりと埋まって、ケヤキの引き戸の木(木目)を眺めながら聴いた「ももたろう」の語りだということを、優しい声で淡々と話してくださいました。幼い頃の至福のときを今も心の奥で大事に温めている彼女だからこそ出来る業なのでしょう。それから、絵本講師としての活動もしたいと渇望した時期もあったが、知人らの口コミで行政機関から依頼が来るようになったという朗報も加えくださいました。

 勉強会では、山中理事から冬のお薦め絵本の紹介と読み方の技術指導がありました。

読むときの基本姿勢の確認の後、狂言絵本『ぶす』(もとしたいずみ・文/ささめやゆき・絵/講談社)を全員 1 ページずつ回し読みすることに。さすがに経験豊かな参加者達からも「緊張するわぁ」の声が続出です。しかし、理事の柔和なお人柄と絵本の内容のおもしろさも手伝い、くつろいだ雰囲気の中で実演を終えることができました。もちろん、全員合格の太鼓判をもらいました。

 次に、朗読の勉強もされている熊谷みのりさん(東京 3 期)に、『はる・なつ・あき・ふゆ』(ドゥブラフカ・コラノビッチ・作/評論社)を読んでもらいました。人前で読むのは初めてとのことでしたが、澄んだ声音に皆うっとりと聴き入っている様子でした。また朗読の場合は、タイトルの前に作者名を言う読み方が主流だと教えてくださいました。その後、皆が持ち寄った絵本を回覧しながら、それぞれの解釈を発言しあい、自分とはまた違った解釈に「なるほどねー」と頷きあいました。そんな中、『ももたろう』(松居直・文/赤羽末吉・絵/福音館書店)の帰りの船になぜ鬼が乗っているの?という疑問が飛び出し、それには岡山県出身の白石アサ子さん(東京 3 期)が「ももたろうは鬼に送り届けてもらった、とおばあちゃんから語り聴いている」と返答されていました。思わぬ収穫に皆大喜びでしたよ。

 会も終盤になり、事務局からの連絡事項が。養成講座 5 期生募集、『たましいをゆさぶる絵本の世界』(飫肥糺・著)の販売促進、「はばたきの会」会報の原稿募集への協力をお願いしますとのことです。

 全員で活発な意見交換ができ、実り多い時を過ごせたので、第 2 回目の交流会を開いてほんとに良かったとの、山中理事から終わりのあいさつをいただき、「ふるさと」「また会う日まで」を斉唱して会を閉じました。休日の雑踏にもまれながら帰路に着きましたが、「まだまだ学ぶことはいっぱいある!」と集う仲間がいることに胸が熱くなりました。

報告者・岡部 雅子(芦屋2期生)



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