私の絵本体験記

「絵本フォーラム」96号(2014年09.10)より

絵本を読んでもらった記憶

秋山 舞さん(神奈川県川崎市)

 私には今5歳と3歳の息子がいます。長男が赤ちゃんの頃は家の中にいる時間が長く、特に予定もなく、毎日ゆったりとした時間を過ごしていました。そんな時に何気なく絵本の読み聞かせを始めると、生活に新しい楽しさが生まれました。
 一番大きな変化は息子との会話が増えたことです。と言ってもまだ喋れない月齢だったので、寄り添ってお互いの声に反応し合う程度でしたが、今思うと絵本を介して息子にたくさん語りかけていたなと思います。
 そして息子たちが成長するにつれて、絵本を開くことで新たな発見をし、楽しい気持ち、悲しい気持ち、ドキドキする気持ち、ハッピーエンドの安堵感などを共有することもできました。ページをめくる度にワクワクし自分たちのペースでじっくり見たり考えたり感じたりしながら何度も絵本の世界を楽しみ、かけがえのない時間を過ごしてきました。
 今では息子たちも絵本が大好きで、日常で絵本のフレーズを使っていたり、絵本と同じような場面があった時に親子で「アレと一緒だね」と共通の思いを分かり合えることも嬉しいです。絵本の世界が私たちの生活を豊かにし、心をつないでいてくれます。
 家で読み聞かせを始めてから5年、これまでの絵本の内容を子どもは全て覚えてはいないでしょう。でも大きくなってから「小さい頃、親に絵本を読んでもらっていたなぁ」という記憶が残っているといいなと思っています。そしてこれからも子どもとの絵本の時間を大切にし、幸せを増やしていきたいです。
(あきやま・まい)

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