私の絵本体験記

「絵本フォーラム」94号(2014年05.10)より

会話の中心は絵本から

秋山 暁美さん(岡山県岡山市)

 何を隠そう、私は本がなくても生きていられた人間である。そんな私が、今では、絵本がなくては生きていけない人間なのである。どうして変わったのか。
 それは、7年前。知らない土地での生活、0歳と1歳3か月の子どもがいる私は、てんやわんやの毎日を過ごしていました。そんな時、ふと目に留まったのが、絵本講師ママのブログだったのです。そこで、絵本で子育てをする楽しさを教えてもらい、紹介している絵本を片っ端から子ども達と読みました。
 すると、「おっ!」と思う出来事が起こり始めたのです。  例えば春の散歩中。風が吹き、桜の花びらが飛んでいると「はるかぜさんがどこかにいる!」(『はるかぜさんといっしょに』から)と言ってあたりを一緒に探したり。
 小川の横を散歩中。水の中で気持ちよさそうに揺れているヤナギモを見て、「まぁちゃんの長い髪だ。どこかで髪洗ってるよ!」(『まあちゃんのながいかみ』から)と言って盛り上がったり。と、いつの間にか絵本の世界と一体になっていた我が家。
 そんな子ども達は、今では8歳と7歳。けれど変わらず、絵本の世界を堪能中。「はい、おみやげ!」、とやっぱり絵本と同じようにつくしを持って帰り、「つくしだれのこ♪すぎなのこ♪」と一緒に我が家流で歌う。楽しい会話には、常に絵本の言葉が含まれている。
 そんなこんなで、これから先も、絵本がないと生きていけない私、そして我が家なのである。 (あきやま・あけみ)

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