おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第94号(2014.05.10)









『しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん』 
高野文子/作・絵 
福音館書店

  男の子が就寝前に、敷ぶとんには、夜中におしっこが出ないように、掛布団には手足を先まであっためてくれるように、枕にはおっかない夢を見ないように頼むと、それぞれが「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と引き受けてくれます。朝、布団を畳んだ男の子は、ふとんたちにお礼を言います。リズミカルな言葉と男の子の寝る様子を側面から描いたユーモラスな絵が子どもの睡眠前の不安を取り除いてくれます。


『トーラとパパの夏休み』 
リーサ・モローニ/文 エヴァ・エリクソン/絵 
菱木晃子/訳
あすなろ書房

 トーラはパパと森へ行ってキャンプをすることになりましたが、パパは買物に時間をかけ、森に言ってもスマホのナビを見るばかり。トーラが見つけたヘビもカバもトロルも木の根っこや岩や切り株だと言って信じてくれません。ところが、パパがワニにかみつかれて川に落ちたのをトーラが助けてから、パパにもドラゴンなどが見えるようになりました。空想あふれる森の中の絵が楽しい作品です。









『槍ヶ岳山頂』
川端誠/作
BL出版

 小学5年生の少年が父さんとともに燕岳と槍ヶ岳を2泊3日で縦走した様子を描いた作品。山小屋に泊まってご来光を見たり、高山植物を観察したりしながら歩き続けると、きつい上りの途中で雨が降ってきて、「くるんじゃなかった」と後悔します。しかし、槍ヶ岳の山頂に着いて360度見回した時に、苦しかったことを忘れます。スケールの大きな風景の中で父子が歩き続ける様子が力強く描かれています。


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